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拡大する太陽電池市場 激化する競争の裏側

太陽光発電普及を目的に活動するJPEA
日本のみならず世界の機関と協調し
地球環境の保全に取り組んでいる(1)

山本周平/編集部

JPEAは,太陽光発電の普及促進を目的とした組織であり,太陽光発電に関する調査・研究,情報提供および各方面への助言,利用技術の確立など様々な分野で活動を行っている。同会には,太陽電池メーカーをはじめ,システムメーカー,周辺機器,電力会社など,新エネルギーの創出を目指す約70社が属しており,幅広い会員構成でその総合力の発揮が期待されている。

JPEAの果たしてきた役割

太陽光発電協会(JPEA)は,87年に太陽光発電の普及を目的に設立された。設立の段階では太陽電池は,電卓の電池などに使用される独立した小さなデバイスに過ぎなかった。しかし,当時から石油ショックの経験などエネルギー問題や,地球環境問題の声も上がり始めてきた中で,太陽電池を電力エネルギーとして広めようとJPEAは組織された。

現在では,太陽光で発電した余剰電力は電力会社に買い取ってもらえるシステムとなっているが,そのシステムの導入は簡単なものではなかった。日本では電力品質を守らなければならないという大きな課題があり,不安定な自然エネルギー導入はなかなか推進しなかった。しかし,政策的に将来のエネルギー問題や環境問題を見据えて広げていかなければならないと,国ならびに産業界の強い働きかけにより,電力会社の大英断で買う値段と売る値段が同じという,当時でも非常に稀な買取システムが導入された。

また,92年の地球環境サミット(環境と開発に関する国際連合会議)を通じて温室効果ガスの排出量の削減も叫ばれるようになっていた折に,家庭からのCO2削減には,個人住宅に補助金を出してでも太陽光発電を導入していかなければならないと考えられた。そこで,各メーカーが結束のもと普及団体としてJPEAも尽力して国に訴え,日本のエネルギーと環境を守らなければいけないと官公庁を説得し,94年に個人に対して国が補助金を出すという,異例ともいえる個人住宅向け設置補助制度が導入された。

太陽光発電が普及するまで

現在,企業では,CSR(企業の社会的責任)やISO14000(環境関係の国際標準規格)などに関心を持つようになっているが,当初,太陽光発電はイメージこそ良いが,採算性に見合う事業ではなかった。しかし,先に先行投資をすれば必ず次世代の環境エネルギーを普及する時代が来ると信じ,各メーカーは製造技術,販売網を確立し,大量生産によるコストダウンを実現する努力を積み重ねてきた。それに合わせて,JPEAの普及活動やメーカー各社のPRやCMなどでユーザーに太陽光発電の魅力を演出し,徐々にイメージを向上させてきた。その結果,ユーザーの太陽光発電に対する理解も深まり,日本の太陽光発電の普及が進んだ。結果,99年に日本の生産量が米国を抜き世界一位となった。

太陽光発電の普及は徐々に広がっていったが,そのきっかけとなったのは,94年からの補助金制度導入や97年のCOP3(地球温暖化防止京都会議)批准による環境意識への高まりなどがある。しかし,一番の大きな要因はコストの低下である。各メーカーの努力により,現在の標準的な設置価格は200〜300万円と,94年の補助金制度導入時の1/3程度の価格となっている。

また,太陽光発電とオール電化を組み合わせることで,その魅力をユーザーに提案できるようになったことも普及の大きなきっかけとなった。オール電化を導入することで,日中は太陽光発電により余剰電力を電力会社に売り,夜間は安い電気を電力会社から買ってお湯を沸かす。夜間は日中の1/4程度の電力料金であるため,電気を使わないときは高く売り,電気を使うときは安く買うことで昼間の太陽光発電のメリットと,電力会社の夜間電力の負荷平準のメリットが得られる。実際に,太陽光発電システムの普及当初は,環境に対する意識から導入するユーザーが多かった。しかし,最近では環境という意識に加え,オール電化の利便性や経済的メリットも重視するユーザーが多くなってきている。

太陽光発電の世界的な普及

1. 補助金の打ち切り

94年から12年間行われた住宅用太陽光発電システムの補助金制度は,05年度に打ち切られた。そもそも補助金は太陽光発電の市場立ち上げ時に,ユーザーへの導入初期コストの負担を緩和する目的で導入されたものであり,当初の1/3の価格となったことから補助金に頼らない自立した市場ができつつあると判断され,直接支援の役割は終了したものと考えられる。また,補助金の額は太陽光発電システム価格の低下に合わせて減少し,94年度に数百万円だった補助も05年度は数万円程度となり,太陽光発電を導入するユーザーにとっても補助金制度のメリットはあまり感じられないものとなっていた。

2. 累積設置量でドイツに抜かれる

一方,ドイツでは04年に再生可能エネルギー法が改正され,余剰電力の高額買取義務(買取価格は一般電力の3〜4倍)を課したフィードイン・タリフ(FIT)の導入により,爆発的に需要が伸びた。その結果,太陽光発電の累積導入量で,日本は97年以降トップであったが,05年にドイツにその座を明け渡すこととなった。ドイツでの成功を受け,欧州各国にFIT導入が広がっており,補助金を打ち切ったのは時期尚早で,日本でもFITの導入するべきとの見解もある。しかし,ドイツではFITの導入により一般の電力料金が値上がりしており,国民に負担が及んでいることから,国民の理解とともに,公平性が守られるかという課題がある。

3. 日本の取り組み

そのようなFITの問題を踏まえつつ,日本では電力会社に一定の再生可能エネルギー導入を義務づけたRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)に基づき再生可能エネルギーの調達目標量を,10年の約122億kWh(全電力の約1.35%)から14年度には約160億kWh(全電力の約1.6%)まで引き上げられることになった。

一見,ドイツを中心として欧州では国策として環境対策に積極的に取り組んでいるのに対し,日本では太陽光発電の直接的な補助がなくなり,国が環境に無関心なように受け取られがちであるが,日本でもRPS法により太陽光の発電量を実際の2倍にカウントする特例措置を導入するなどして太陽光発電の促進を支援している。

国が太陽光発電の普及に積極的に関与しているということは,太陽光発電の導入を通して,国民に環境やエネルギーに対する自覚と誇りを持たせるものである。従って,太陽光発電のさらなる普及のためには,JPEAの広報活動を通じて「国が太陽光発電の普及に明確に関わっている」いることを鮮明に示すことが重要である。

Si不足の逆風をプラスの流れに

05年,06年とSi材料不足の問題があり,日本市場で普及の伸びが落ちたのは,この材料問題の影響が大きい。その原因は,太陽光発電需要の急激な拡大による半導体市場とのSiの奪い合い,Siに対する投機的な面など複雑な要因があり,太陽光発電メーカーは原料を確保できないため,需要があっても規模を拡大できない状態となっていた。

その一方で,06年は薄膜の非結晶系メーカーが60%以上の高い伸びを示している。薄膜太陽電池のSi使用量は,結晶系太陽電池の1/100〜1/200程であるため,Si不足による影響をほとんど受けないことによる。このことは,結晶系メーカーにとってSi不足は逆風であるが,Siが不足しても非結晶系メーカーの需要が伸び,太陽光発電の産業構造は幅が広がり,多様化をもたらし一層強くなったと言える。

このようにSi不足により薄膜系メーカーが力を付け,販売網,製造技術を益々向上してきたことにより,結晶系メーカーと市場で競争できる流れができた。産業構造が強くなったということからすれば,結果的にはSi不足が産業強化にプラスに働いているとも考えることができる。

表1 各国の太陽光発電導入状況  (単位:MW)

国名
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
ドイツ
単年
10.1
14.0
12.0
15.6
44.3
80.9
83.4
153.0
363.0
635.0
累計
27.8
41.8
53.8
69.4
113.7
194.6
278.0
431.0
794.0
1429.0
日本
単年
16.2
31.7
42.1
75.2
121.6
122.6
184.0
222.8
272.4
289.9
累計
59.6
91.3
133.4
208.6
330.2
452.8
636.8
859.6
1132.0
1421.9
米国
単年
9.7
11.7
11.9
17.2
21.5
29.0
44.4
63.0
100.8
103.0
累計
76.5
88.2
100.1
117.3
138.8
167.8
212.2
275.2
376.0
479.0
オーストラリア
単年
3.0
3.0
3.8
2.8
3.9
4.4
5.5
6.5
6.7
8.3
累計
15.7
18.7
22.5
25.3
29.2
33.6
39.1
45.6
52.3
60.6
オランダ
単年
0.9
0.7
2.5
2.7
3.6
7.7
5.8
19.6
3.2
1.7
累計
3.3
4.0
6.5
9.2
12.8
20.5
26.3
45.9
49.1
50.8
スペイン
単年
0.4
0.2
0.9
1.1
3.0
3.6
4.8
6.5
10.0
20.4
累計
6.9
7.1
8.0
9.1
12.1
15.7
20.5
27.0
37.0
57.4
イタリア
単年
0.2
0.7
1.0
0.8
0.5
1.0
2.0
4.0
4.7
6.8
累計
16.0
16.7
17.7
18.5
19.0
20.0
22.0
26.0
30.7
37.5
フランス
単年
1.5
1.7
1.5
1.5
2.2
2.6
3.3
3.9
5.2
7.0
累計
4.4
6.1
7.6
9.1
11.3
13.9
17.2
21.1
26.0
33.0
その他
単年
4.1
5.6
6.0
7.4
8.5
8.2
11.8
15.7
12.0
20.9
累計
34.4
40.0
46.0
53.4
61.9
70.1
81.9
97.6
109.1
130.8
合計
単年
46.1
69.3
81.7
124.3
209.0
260.0
345.0
495.0
778.0
1093.0
累計
244.7
314.0
395.7
520.0
729.0
989.0
1334.0
1829.0
2607.0
3700.0

出展)累計はTrends in Photovoltaic Application(Report IEA-PVPS)
注1)単年値は累計値から算出

 


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