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拡大する太陽電池市場 激化する競争の裏側

太陽光発電普及を目的に活動するJPEA
日本のみならず世界の機関と協調し
地球環境の保全に取り組んでいる(2)

山本周平/編集部

導入が進まない公共・産業市場

1. 様々な政策の検討

国内の太陽光発電市場の90%近くが一般住宅用であり,公共・産業用への普及に対しては一層の普及策が切望されている状況である。国としても,フィールドテスト事業により,太陽光発電導入の促進を図っているものの,業務用電力(約11円/kWh)との競合と考えた場合,公共・産業市場で太陽光発電を導入する経済的メリットは少ない。

その対策として,例えば,工場立地法では工場を建設するときに緑地を設けることが義務付けられているが,現在,JPEAでは太陽光発電施設を緑地の代替物として扱うような規制緩和の働きかけを行っている。

また,公共・産業向けの中でも,大企業では会社のCSR,ISO14000などにより太陽光発電の導入が進んでいるが,中小企業への普及はほとんど進んでいない。そのため,中小企業が太陽光発電を導入しやすい環境を構築できるような考察が行われており,エネ革税制(エネルギー需給構造改革投資促進税制)により,太陽光発電システムを導入したときに,税制面での補助や税金を軽減する制度などの検討が行われている。

さらに,住宅向けでもマンションや公団住宅などの集合住宅への導入も非常に遅れている。これらは,大きな屋根があり設置面積が広くとれることから,太陽光発電を導入するのに最適な条件を満たしているにも関わらず,エアポケットとなっており,JPEAとしてもこの分野の普及が進むような施策の提案などを検討している。

2. 企業イメージの向上

一方,国民の環境意識の高まりから,官民合わせて環境問題が社会的責務であるような気運の高まりもあり,特に民間企業では,環境問題に真摯に取り組んでいる姿勢をユーザーに示すことで,宣伝広告の効果も期待できることから,積極的に導入する例も見られるようになってきている。例えば,工場に大規模な太陽光発電システムを設置し,太陽光により発電した電力で製造した商品は,CO2を排出して作られた商品より格段にイメージが良く,それをTVCMなどでPRすることで,企業イメージの向上にも役立てることができる。

このように,様々なビジネスモデルを考えることで,太陽光発電により地球環境保全と企業イメージが結び付き,両者に都合の良い形で拡大していくことも望ましいと考えられる。

リサイクルは今後の重要な課題

環境を考えた場合,リサイクルの問題があるが,90年頃から徐々に太陽光発電の普及が進み始め,急激に増えたのが00年以降であり,廃棄されるのはその20年〜30年後と,現段階で市場からの回収要請は大きくはない。そのため,早急に標準化などを進める必要性はないが,JPEAではリサイクルということに関し,先行している自動車や家電リサイクルなどを調査しながら,その課題に取り組んでいる。

また,現実に寿命が尽きた太陽電池を今の技術でリサイクルするとなると,環境に悪い薬品で溶かしたり,膨大なエネルギーを加えるなどして処理することになるので,かえって環境に悪く,意味のない結果となってしまう。太陽電池のリサイクル問題は,技術的にも簡単ではなく,早急に取り組まなければならない課題である。

日本発のグローバルスタンダード

1. 実際の発電量で標準化

発電量や発電効率の標準化は欧州,米国,日本と相互に認証している規格があるが,今,日本が取り組んでいるのは,実際の発電量の標準化である。乗用車の10・15モード燃費のように,晴天や曇り,雨天など実際に太陽光発電を動作させたときの発電量についての標準化した規格を作らなければいけないと検討している。

現在,日本は太陽光発電システムの設置量も多く,メーカーによる世界市場シェアは約5割と圧倒的優位性があるため,発言力が非常に強い。そこで,日本が標準化したものをグローバルスタンダードにすることで,日本メーカーのアドバンテージを保つべく強く働きかけを行っている。

2. 発言力の行使

これまでも日本は,様々な産業分野で非常に強い発言力を持っているにも関わらず,欧米の流れに合わせるだけで,いつの間にか後発の国に追い抜かれていることを甘受してきた歴史がある。しかし,今後は強く発言していかなければならないと国も考えており,このようなことは,一企業でできる問題ではなく,JPEAも協調機関として,欧米の機関と協力しながら,様々な面で今後の発展,地球環境の保全という意味で主張していかなければならないと考えている。

そのためにも,日本市場の成長は不可欠であり,10年の太陽光発電導入目標である482万kWh,CO2の削減目標である6%を確実に達成しなければならない。

さらなる普及のために

1. 環境に対する意識を向上

太陽光発電に限らず,環境を考えたときに一番大切なことは一人ひとりの環境に対する意識を向上させなければならないことである。その一つの行動が環境問題に個人でも取り組める太陽光発電であり,その導入には少なからず投資してもらうことが不可欠となる。従って,個人が広く太陽光発電を身近なエネルギーとして選択できる行動を国民運動としてPRしていくことが鍵となる。

注目されているのは,住宅に太陽光発電システムを導入したことにより,電力を発電した効果だけではなく,一般家庭の省エネマインドが高まっているということである。つまり,余剰電力の売電により電力会社から現実にお金が銀行に振り込まれるという目に見える効果により,家庭内で省エネの話や節電に気を配るようになり,子供にも関心を与えることができるようになっている。この様に,ライフスタイルの変化により一般の人がCO2削減といった環境問題に協力的になることも導入の効果として期待されている。

2. 太陽電池社会インフラの輸出へ

また,普及のためには国外を含めて広く裾野を開拓していくことも重要である。特に,中国やインドなどは,今後エネルギーを大量に消費するようになるから国際的な働きかけが必要となる。また,現在は経済的に余裕のある地域だけに太陽光発電の普及が進んでいるが,ケース・バイ・ケースで各国に適したシステムを提案できるようになれば,さらに世界的な広がりが見られると考えられる。

JPEAでは,IEA(国際エネルギー機関)PVPSプログラムタスク9で,発展途上国における太陽光発電普及を促進する目的で,専門家との協力や情報交換による調査研究を始めており,環境に対する日本の取り組みを社会インフラとして輸出していくことができるようにしたいと活動している。

表2 日米欧ロードマップ比較
国/地域
項目
単位
04年
10年
15年
20年
30年
50年
日本JPEAビジョン(05年)
累積導入量
万kW
113.2
482
1,413
2,919
8,358
 
年出荷量
万kW/年
58.8
118
235
349
755
国内市場
億円
 
3,771
6,715
8,715
14,599
総市場(含海外)
億円
 
5,711
9,660
12,465
20,599
雇用
1000人
 
 
 
 
300
原油換算導入量
万kl
28.3
120
352
727
2,081
欧州EPIAロードマップ(EU25か国,04.5)他
累積導入量
万kW
100.4
360
 
4,100
 
 
年出荷量
万kW/年
41.0
 
 
 
 
 
雇用
1000人
35(世界)
59(欧州)
 
 
 
 
累積輸出量
万kW
 
100
 
300
 
 
米国SEIAロードマップ(04.9)
累積導入量
万kW
34
210
960
3,600
20,000
67,000
年出荷量
万kW/年
12
51
 
720
1,900
3,100
雇用
1000人
20
29
 
130
260
350
発電コスト
¢/kWh
10.5
7.4
5.7
4.6
3.8
3.7

出展)JPEA:05年改訂版「太陽光発電産業自立に向けたビジョン」,EPIA:04年「EPIA Road Map」, SEIA:04年9月「Our Solar Power Future」

 


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