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リセッションを脱し,市場回復はいつ?

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半導体・FPDの今 主要メーカーの戦略

Excellent Companyの次世代戦略
エム・エフエスアイ
MEBOによる多角化経営への展開
次なるステップへ進むためにFSIと新たな関係を構築

 

基板大型化によるCoOへの影響
▲代表取締役社長河合秀樹氏

エム・エフエスアイは,これまで技術センターの設立,日曹エンジニアリングの半導体製造装置部門の買収など,多角化経営に向けたステップを着実に進めてきた。07年は既存株主との資本関係の見直しを行い,社員参画型経営に移行し,さらなる多角化に向け自立の一歩を踏み出す。

多角化経営の次なるステップ

07年,エム・エフエスアイ(m・FSI)が新たな挑戦を開始する。同社の主要株主であるFSI Internationalと三井物産との資本関係を見直し,m・FSIの経営陣,FSIや他投資会社で再構成し,本格的に自立へ向けた取り組みに乗り出す。m・FSIがこうした決断をした背景には,経営戦略の核としている多角化を今まで以上に展開したいという思惑がある。同社は,これまでも岡山に技術センターを設立した他,日曹エンジニアリングの半導体製造装置部門を買収するなど多角化経営に向けたステップを着実に進めてきた。今回の資本関係の見直しもその戦略の一環にあたる。

m・FSIではこれまで日本市場を中心としたビジネスを展開してきたが,いわゆる集中と選択に基づきハイエンドなユーザーにターゲットを限定するというFSIの商品戦略と必ずしも一致しない部分が存在していた。日本市場には多くのデバイスメーカーが在り,ディスクリートからシステムLSIまで様々な事業が行われている他,製造プロセスに関しても,デジタル家電向けや自動車向けなど多種多様なニーズが存在している。こうした独特な市場を形成している日本のユーザーに向けて,より密接に付き合い,個々のニーズに細かく対応していく集中と選択とは真逆なビジネスを展開していくためには,FSIの商品戦略とは微妙な差異も生じていた。しかし,m・FSIの従来のままの資本構成からすると,事業方針を変更するといっても,自ずと限界が生じてしまっていた。そこで,FSIと協議しFSIの応援を取り付けた上で,新しい関係を築くためにMBOによる独立が決定された。

海外展開も自社の手で

m・FSIはFSIとそれぞれ開発した技術をライセンスし合うなど,互いを尊重しあい各々の強みを生かした事業を展開する大人の関係を構築してきた。今般実行するFSIの資本比率の引き下げは,両社が築き上げてきた関係により深みを持たせるための一歩となる。これにより,今後のm・FSIはFSIの戦略とは異なる独自の戦略を採ることが可能な企業へと変貌を遂げることとなる。

FSIとの折り合いは今後も変わらず重要な要素ではありながら,これからは自社の判断がより明確に打ち出せる体制となり,例えば今までFSIのネットワークを活用して行ってきた海外のユーザーへの装置提供についても,すべて自社で行うことが可能となる。

化学反応,物理反応を提供

1. ユーザーが期待する以上の付加価値を提供

m・FSIの経営ビジョンは,設立当初より一貫して高付加価値の技術を提供することにある。このような建前は往々にして多くの会社で見ることができる。しかし,同社の目的は化学反応や物理反応を活用したプロセスそのものを装置化し,ユーザーが期待する以上の性能や汎用性を提供することにある。特にFSI製品においては同じ装置に搭載可能な多種のプロセスアプリケーションを開発し,COO低減や歩留り向上,アプリケーションの拡大に貢献している。そうした取り組みが,現在の同社の高付加価値を実現する技術や製品という形で表されている。

2. 2種類のユーザーに提供される燐酸再生装置

多様なニーズに対応するために,同社では特徴的な装置を次々と提供している。06年度では,窒化膜エッチングプロセスにおける燐酸薬液交換が不要な燐酸再生装置「PSYRION」,また燐酸再生ならびに窒化膜の安定したエッチングレートと酸化膜との選択比の制御を同時に可能にする「NISON VESPER」の提供を本格的に開始した。

NISON VESPERは主に2種類のユーザーをターゲットとしている。一つ目は,燐酸を再生・回収することによる環境負荷の低減や燐酸の価格高騰に関心が高いローエンドのユーザー。二つ目は,最先端のエッチングプロセスを行うユーザーであり,このようなエッチングプロセスでは,従来のSTIやLOCOSの窒化膜の除去工程に加えて,新たに他の窒化膜除去工程への応用が検討されている。また酸化膜と窒化膜の高い選択比が求められており,NISON VESPERはこのニーズに応え,バランス良く均一に制御しながらエッチングすることが可能である。なお,この新しいプロセスへの適用において,さらなる高精度な制御技術を確立するために現在研究開発が進められている。

3. リダンダンシ供給が可能なスラリ混合・供給システム

CMPスラリの混合・供給システム「iSIS 1200J」も06年度から提供を開始した。CMPに用いられるスラリの供給ラインは,365日24時間休みなく稼働することが求められる装置だが,メンテナンスを要し,装置のリダンダンシ化のため同じ装置を2台用意する必要があった。iSIS 1200Jは,キャビネットが2分割されており,それぞれに混合部と供給部を持つことで,1台でのリダンダンシ供給を可能としている。また,操作画面などソフトウェア部分は完全国産化されている他,真空圧送方式によるポンプレスもしくはスラリの種類によっては各種ポンプも選ぶことができる自由度の高い装置となっている。

4. アッシングレス・レジスト剥離装置

PSYRIONやiSIS 1200Jの他にも,既存のZETAに搭載するアプリケーションとしてアッシングレスでレジスト剥離が可能な「ViPR」が開発され,ユーザーと評価を行っている段階にある。アッシングレスのレジスト剥離により,必要な設備投資を低減することができる。そのため,ユーザーからは強い引き合いがあるという。

ViPRは高温プロセスに対応した技術で,処理温度を200℃程度まで引き上げることが可能。そのため,1×1015レベル以上の高ドーズインプラレジストを,アッシング処理することなく,剥離することができる。また45nmプロセス以降での適用を目指し研究が行われているNiPtサリサイド剥離に対応する技術「PlatNiStrip」の開発も進められており,装置の選定段階に入っている。

5. 海外からの受注が好調な枚葉式洗浄システム

同社が海外展開を図る上で重要な役割を担っているのが枚葉スピン両面洗浄システム「CENOTE」である。同装置は,韓国や台湾などアジアを中心とした日本以外のユーザーからも受注が継続している。好調な受注を背景に,同装置の生産を行っている同社の子会社であるハーモニクスでは,千葉県松戸市のクリーンルームの拡張を行い生産能力の増強に努めている。CENOTEは,「当初の予想をはるかに超えた受注状況」と河合氏が語るほどの状況であり,m・FSIとしてはうれしい悲鳴を上げる状態となっている。

商品の拡充を引続き継続

これまで装置サプライヤであり主要株主であったFSIと大人の関係を構築し,独自戦略での多角化経営への取り組みを行ってきたm・FSI。自立を果たした今後は多様なニーズに的確に対応する企業へと変貌を遂げようとしており,独自技術開発の継続の他,さらにM&Aも含めた製品の拡充を積極的に進めていく。また,デバイスメーカーを中心に,国内で洗浄プロセスに携わるエンジニアとこれまで以上に密接な関係を築くために技術セミナーを自ら開催することも計画している。さらに近々社員も経営参画することが決定しており,いわゆるMEBOが実現する。

「自らのリスクで事業を行う。そういった意味では,社員も経営参画させる位の事業運営を行っていく」と河合氏は意気込みをみせており,新たな一歩を踏み出す07年度は60億円を見込む。進化と成長を続けるm・FSIの新たな挑戦が今まさに始まった。


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