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大容量HDD/メモリ向け製造装置の現状と課題

Oerlikon,HDD向けスパッタリング装置
高精度・高メンテナンス性・低コストを実現
Blu-ray Disc向け一貫製造ラインも展開

石井政男/編集部

100年以上にわたって真空技術を手がけているスイスOerlikonは,HDDと光ディスク向けのスパッタリング装置を提供している。同社のHDD向けの装置は,ガラスまたはアルミ基板に両面スパッタリングを行うもので,光ディスク向けの装置は,ポリカーボネートの基板に片面スパッタリングを行うものである。同社の最新製造装置の特徴について,日本エリコンの装置事業部営業部課長代理である平井誠治氏に伺った。

HDD向けスパッタリング装置「RACETRACK」

▲「RACETRACK」
▲「RACETRACK」

Oerlikonの「RACETRACK」は,直径2.5インチおよび3.5インチの基板に対応したHDD向けのスパッタリング装置である。同装置は,枚葉式でコンパクト筐体サイズでありながら,1000枚/時の処理能力を備えている。平井誠治氏は,「業界最速のサイクルタイム3.6秒を達成している」と話す。

装置の設置面積は,電源を含めて3.5m×7.8m,高さ2.5mと非常にコンパクトながら,メンテナンススペースも十分に確保されている。また,3.6秒とサイクルタイムを短くしながら,各チャンバにおけるプロセス時間を確保するために,基板の移動速度を0.3秒にまで短縮している。ただし,位置精度については,±0.1mm以下の高精度を保っている。このため,チャンバ数を少なくすることが可能で,コストダウンにつながっている。なお,チャンバ数は4個単位で容易に増設することが可能である。

▲「TRIATRON」
▲「TRIATRON」

ターゲットの利用効率が高いことも特徴である。HDD業界で最近頭を悩ましている問題が,ルテニウムの高騰である。また,プラチナも非常に高価である。つまり,ターゲットの利用効率を高めることが,求められている。そこで同社は,光ディスク製造装置で多数の実績を持つDCカソードやRFカソードをHDD用に最適化し,ターゲットの利用効率を50〜60%程度に高めている。

その他,ターゲットやシールドの交換やクリーニングといったメンテナンスに,エンジニア2人で

図1 「RACETRACK」は,チャンバは4個単位で増減が可能な他,容易にアップグレードできる
図1 「RACETRACK」は,チャンバは4個単位で増減が可能な他,容易にアップグレードできる

「もちろんPMRに対応している他,研究開発を進めている熱アシスト記録方式やパターンドメディアにも対応しうるスペックとなっています」(平井氏)。

さらに,多層レイヤや多元スパッタという使い方にも対応している複合カソード「TRIATRON」にも対応している。また,カーボンガンには,セルフバイアス方式を採用している。なお同装置は,すでに納入の実績があり,07年には数台の販売を見込んでいるという。

また,同社は,既存の製造装置を使っているユーザーに向けて,最新のDCカソードやRFカソード,カーボンガンなどを提供するアップグレード・ビジネスも行っている。これにより,既存のユーザーも生産コストを引き下げることが可能になっている。

Blu-ray Discの一貫製造ライン

同社は,光ディスク向けのスパッタリング装置においても大きなシェアを持っている。中でもBlu-ray Disc向けのスパッタリング装置では市場シェア9割以上を達成しているという。同社はスパッタリング装置を単体で販売するというビジネスを行ってきたが,03年から,光ディスクの一貫製造ラインを提供するビジネスも展開している。日本では,製造ラインを自社で設計するユーザーが多いことから,一貫製造ラインを納品実績は少ないものの,台湾やインドの著名なメディアメーカーにはかなりの納入実績を持つ。

▲「INDIGO R/RE」
▲「INDIGO R/RE」

同社が提供しているBlu-ray Discのリライタブルメディア一貫製造ライン「INDIGO R/RE」は,25Gバイトのシングルレイヤ,50Gバイトのデュアルレイヤの両方に対応している。シングルレイヤの場合は,スパッタを行った後に,厚さ100μmのカバーレイヤを形成する。一方,デュアルレイヤの場合は,スパッタ工程の後に,厚さ25μmの中間層を作り,半透過記録膜と厚さ75μmのカバーレイヤを設ける。

INDIGO R/REは,カバーレイヤをホイールで貼り付けるのではなく,スピンコータを用いてる。「スピンコータを利用するメリットは,コストを下げることができることです」(平井氏)。

スピンコータの場合,内周部分と外周部分の膜厚を均一にするために,センターキャップを用いると歩留りを上げるのが困難であるという課題があったが,同社は,精密な温度コントロールにより,センターキャップを用いずに均一な膜厚を生成することに成功している。

Blu-ray Discのデュアルレイヤ対応一貫製造ラインも完成しており,シングルレイヤ対応一貫製造ラインから容易にアップグレードが可能である。ただし,現状の方式では,デュアルレイヤのメディアを作成するには,シングルレイヤのメディアを作成する2倍以上のコストがかかっているので,改善が望まれている。

「当社は,生産性の向上と生産コストの引き下げについて,多くの実績を積み重ねており,デュアルレイヤBlu-ray Discの製造コストの引き下げにも,取り組んでいます。さらに,ホログラフィックディスクの開発や,スパッタ技術を用いてレンズの反射防止膜を製造する装置の開発などにも取り組んでいます」(平井氏)。


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