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半導体メーカーにおける環境対策

製造ラインの改善や環境負荷低減製品の開発が進む

石井政男/編集部

環境負荷低減が求められる半導体製造の現場

半導体製造プロセスの微細化が進み,07年には一部のデバイスメーカーで45nmプロセスを採用した製品の量産が開始されるなど,半導体産業はさらなる発展を遂げようとしている。そうした中,京都議定書によるCO2の排出量削減やRoHS指令による製品への有害化学物質の含有禁止をはじめとしたグリーン調達の推進など,環境保護を意識した取り組みが求められている。
99年に行われた世界半導体会議(WSC)において,EU,日本,韓国,米国,台湾の半導体業界団体は,「10年までにPFC排出量をそれぞれの基準レベルより10%以上削減する」ことを確約している。また,実際のPFC排出量は図に示したように,10年の目標達成に向けて着々と進んでいる。なお,新規メンバーとして,中国半導体産業協会が,ベースラインと排出量削減プログラムへの参加可能時期を決めているところである。

図1 半導体産業におけるPFC排出量の推移

図1 半導体産業におけるPFC排出量の推移

出所)世界半導体会議(WSC)

以下,半導体メーカー各社の取り組みを紹介する。

1. NECエレクトロニクス

▲クリーンルーム(NEC九州)
▲クリーンルーム(NEC九州)

NECエレクトロニクスは,全工程を通しての含有化学物質保証システムを構築し,ユーザー企業からの含有化学物質についての問い合わせに迅速に回答できる体制を確立している。生産ラインでは,06年度のCO2排出量(実質生産高原単位)は,90年度の68%にすることを目標としていたが,65%にまで低減することに成功している。また,PFC排出量(GWP換算値)は,95年度の205%を目標にしていたが,182%に抑えている。その他,特定フロンの削減や産業廃棄物の再資源化活動において目標値を達成するなど,VOC削減活動を予定通りに進行することができたことから,今後は,目標値を上方修正するなど,さらなる環境負荷低減活動を進める構えである。

2. ソニー

ソニーは,10年度までにCO2換算温室効果ガス総排出量を絶対量で00年度比7%以上削減することを目標と定めている。これは,エネルギー使用にともなうCO2排出量と,PFCなどの温室効果ガス排出量の合計値を対象にしたものである。省エネルギーについては,高効率機器の導入や燃料転換などの省エネルギー施策を行っている。また,PFCについては,使用した温室効果ガスを分解する除害装置の導入や,地球温暖化係数のより低い代替ガスの導入により,排出量削減に取り組んでいる。
ソニーセミコンダクタ九州の鹿児島テクノロジーセンターでは,使用量が最も多い環境管理物質であるイソプロピルアルコール(IPA)の工程内再利用を開始している。従来,使用済みIPAは,品質上の問題から工程での再利用は困難であったため,場内廃水処理槽のバクテリアのえさとしての利用と,社外への有価売却としていたが,基板洗浄器で使用したIPAを精製し,パネル洗浄機で再利用する技術を確立した。これにより,新規IPA購入量を大量に削減するとともに,廃IPAの量も減少した。また,他の製造ラインからの廃IPAを含め,すべて場内廃水処理槽で再利用できるようになり,鹿児島テクノロジーセンターから排出する廃IPAをゼロにしている。
ソニーセミコンダクタ九州の熊本テクノロジーセンターでは,03年度から地下水の涵養を行っている。これは,近隣の田畑に川から引いた水を張り,浸透させて地下に水を還元する取り込みで,同センターでは,年間水使用量と同量の地下水を涵養できる田畑面積を確保している。ただし,05年度は例年よりも降雨量が少なかったことが影響し,涵養できたのは約70%に相当する約70万m3であった。また,同センターでは,一部の涵養地の水田で収穫された米を買い取り,社員食堂で社員に提供している。

3. 東芝

東芝は,総合環境効率を10年度に00年度の2倍にすることを目標に掲げている。同社は,製品のライフサイクルにおける環境負荷を,製品の原材料調達から製品廃棄までにかかる環境負荷が8割,製造時の事業プロセスおける環境負荷が2割と捉えており,製品の環境効率を2.2倍,事業プロセスの環境効率を1.2倍にすることで,総合環境効率2倍を実現しようとしている。06年度の製品の環境効率は00年度比で1.68倍,事業プロセスの環境効率は同1.22倍,これらを合わせた総合環境は同1.59倍となっており,06年度計画値の1.52倍を上回る結果となった。
具体的な取り組みとしては,半導体工場のクリーンルームの湿度を一定に保つために用いる蒸気をつくるための都市ガス消費量を削減するために,06年度に外調機の加湿方式を,蒸気を使わない純水滴下方式に変更している。なお,この方式では純水の加温が必要であるが,その熱源として工場内で発生する廃熱を利用している。この改善策により,年間2348t-CO2の削減したことに加え,5280万円のコスト削減も果たしている。
EUのRoHS指令の対象となる6物質の使用全廃については,06年7月の発効までに対応を完了している。また,東芝グループでは,05年3月に公表した「第4次環境ボランタリープラン」により,15の化学物質群について,10年までに使用を全廃するという目標を掲げており,2年目となる06年度は,これらの物質群が含有しない製品の売上高比率が前年度の28%から48%に拡大している。

4. 日立製作所

▲耐圧検査装置(日立原町電子工業)
▲耐圧検査装置(日立原町電子工業)

高耐圧半導体製品の製造・検査を行っている日立製作所の日立事業所および日立原町電子工業では,耐圧検査工程で放電対策ガスであるSF6ガス雰囲気中で特性検査を行っていたが,代替品への切り替えを実施した。代替化を検討した特定フロン代替溶剤は液体であるため,特性検査工程に使用するためには,ガス化する必要があった。そこで,気化器を用いて安定的にガス化する手法を開発し,SF6全廃を達成した。これにより,CO2換算排出量は,6万3000GWPt/年から0.4GWPt/年に削減している。

5. 松下電器産業

松下電器産業の半導体社は,環境負荷の少ない最先端のキーデバイス開発をするために,使用時または待機時の消費電力の低減を目指す「Save」,人体および自然界の生態系に影響する化学物質の含有低減を目指す「Clean」,複数のチップを高集積1チップデバイス化することによる材料のリデュースに取り組む「3R(Reduce,Reuse,Recycle)」といった三つの視点から取り組んでいる。その他にも,リード端子部のはんだ鉛フリー化技術確立の完了,臭素フリー,アンチモンフリー封止樹脂の開発,製品含有化学物質管理などを掲げている。

6. ルネサス テクノロジ

ルネサス テクノロジは,地球温暖化防止策の一環として,半導体業界の共通目標である「95年を基準として10年までにPFCガス排出量を10%以上削減」を3年前倒しの07年度までに達成する計画である。また,ゼロエミッション(廃棄物をゼロにする構想)達成のため,ノウハウの相互展開と再資源化を促進している。なお,05年までに廃棄物排出量を98年度比5%削減することを目標とていたが,24事業所中20事業所でこれを達成した。


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