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注目の有機EL

アプリケーションの拡大で,市場は大きく躍進

清水聡/調査部

07年以降は高成長で推移

有機ELディスプレイ(OLED)の06年世界市場は,前年比8.3%減の5億5000万ドルとなったものの,07年は,第1四半期だけをみても,前年同期比で50%以上の高成長を記録しており,通年でも前年比60%増程度の活況を呈するものと思われる。
OLEDは,携帯電話やデジタルオーディオプレーヤ,車載用コンソールなどの中小型ディスプレイとしての採用が進められており活発な動きを見せている。なお,OLEDにはパッシブマトリクス型(PMOLED)とアクティブマトリクス型(AMOLED)の二つの方式があるが,今のところ市場の大半はPMOLEDが占めており,AMOLEDはほとんど市場を形成できていないのが実状である。
一方,OLEDの参入メーカーとしては,Samsung SDI,LG Electronics,LG.Philips LCD,RiTdisplay,Univision Technology,AU Optronics(AUO),Cambridge Display Technology,Royal Philips Electronics,ソニー,パイオニア,東芝松下ディスプレイテクノロジー(TMD),ローム,TDKなど非常に多数のメーカーがしのぎを削っている。これらの数多い参入メーカーの中でも,Samsung SDIがSamsung Electronicsの携帯電話向けにパネルを供給することでシェアを拡大しているものと思われる。そのSamsung SDIを追撃しているのがパイオニア,RiT,Univisionの3社で,上位4社が占める世界市場のシェアを合計すると全体の8割程度に達する。そのため,残りの約2割をその他のメーカーが奪い合う,競争の厳しい市場となっている。

図1 有機ELの世界市場推移と予測

図1 有機ELの世界市場推移と予測

AMOLEDがようやく開花か

期待の大きさに反して,なかなか開花できないのがAMOLEDである。AMOLEDはPMOLEDと比較して,大画面化,低消費電力化に有利である点から実用化の期待が高まっていた。しかし,OLED用の低温poly-Si(LTPS)TFT基板の製造や,大型基板に対する低分子有機材料の蒸着に,高度な技術が必要であることから,歩留りがなかなか向上せず,本格的な市場展開が遅々として進んでいなかった。だが,07年に入ると,その様相が一変し,テレビ用途での製品化,市場拡大への期待が一気に高まった。

有機EL-TVに向けた各社の動向

11型有機EL-TV(ソニー)
▲11型有機EL-TV(ソニー)

「07年はアクティブ元年」との言説もあるように,現在有機ELはテレビ向け大型パネルが急速に注目を集めている。中でも,ソニーやTMDが有機EL-TVの製品化を発表したことで,有機EL-TVが市場の話題を牽引している。ここではTV化に向けた各メーカーの動向について述べる。
国内メーカーでは,ソニーが07年内の製品化を発表し,他社に一歩先んじた感がある。同社は07年4月に行われたDisplay 2007において27型と11型の有機EL-TVを展示し,会場を大いに賑わせた。前述のように11型の製品を07年内にも発売するとしており,同社はTV化において市場をリードする存在と目される。
TMDは,同展示会においてLTPS TFT技術を利用した21型の有機ELディスプレイを展示した。親会社である東芝が09年をメドに32型以上の有機EL-TVの製品化を発表しており,パネルを供給するTMDの動向に注目が集まっている。
セイコーエプソンは,04年にフルカラーの40型有機ELディスプレイを発表している。同社独自のインクジェット技術で,大型基板に有機層を一括形成することで40型という大型サイズを実現した。同社は,有機ELディスプレイは,モバイルからリビング環境までをカバーするのに適するとしており,現在開発を進めている。
一方,海外メーカーでは,Samsung Electronicsが05年に単一のパネルで40型のサイズを実現した有機ELディスプレイを発表している。最近ではSociety of Information Display 2007において,白色有機ELにカラーフィルタを組み合わせた14.1型のパネルを展示しており,TV化に向けた取り組みが注目される。

市場ポテンシャルが高い照明用途

一方で,もう一つの大きなアプリケーションとして期待されるのが,照明用途である。将来的には10兆円規模にまで拡大すると見込まれる同市場は,周知の通り,今現在は蛍光灯の独壇場。そこに名乗りを挙げたのが,有機ELである。
主な参入メーカーの動向としては,コニカミノルタホールディングス,コニカミノルタテクノロジーセンターおよびGeneral Electric(GE)が,07年3月に照明用有機ELの開発と商業化を加速させるために戦略的提携契約を締結,両社は今後3年以内に有機EL照明製品を市場に投入すると発表した。コニカミノルタは06年6月に照明用途に適した1000cd/m2の輝度で,発光効率が64lm/Wという世界最高レベルの発光効率を有する白色有機ELの開発に成功。この開発に先立って,高効率で長寿命の青色リン光材料を自社開発している。こうした材料技術と多層膜設計技術や革新的な光学設計技術を組み合わせて,発光寿命が約1万時間という実用化レベルを達成した。
一方,国内メーカーとしては,三菱重工業が07年内に照明用有機ELパネルをサンプル出荷し,同パネルに新規参入すると発表。市場が順調に立ち上がれば,09年以降に量産に乗り出す計画としている。同社は,大型リニア蒸発源式インライン成膜装置を山形大学の城戸教授およびアイメスと共同開発している。なお,同装置を中心に月産20万枚の生産能力の量産ラインを立ち上げるためには,約150億円規模の投資が必要だとしている。


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