エレクトロニクスが導く新しい自動車の姿
実用化が進む自動車用MEMS技術
センサ系を中心に応用分野はさらに拡大
安全性・快適性を実現するキーデバイス
編集部
自動車分野では,80年代半ばから,エアバッグシステムやABS作動装置,エンジン制御システム,燃料噴射システムなど,MEMSを用いたマイクロセンサを搭載したシステムが多く実用化されている。自動車は,MEMS技術の黎明期から深い関わり合いを持ち,情報通信分野とともにMEMS技術とその市場を牽引してきた。本稿では,自動車用MEMS技術の動向をまとめる。
安全性・快適性を実現するMEMSセンサ
最新の自動車において,センサの搭載率は非常に高い。燃料噴射圧測定をはじめ,燃料タンク残量検知,エンジンオイル状態のサンプリング,エアバッグの適時作動,オープンカー横転時のロールオーバーバーの展開なども含まれる。MEMSセンサは,これらの働きにおいて,従来型センサより,さらに正確かつ小型軽量で信頼性も高い。MEMSセンサなしでは,自動車工学における革新技術が達成されることもなく,また一連の機能,高い信頼性,低価格化も実現できなかったものと考えられる。
1. パワートレイン制御
パワートレイン制御システムに使用されるMEMSデバイスの代表例として,エアフローセンサ,排ガスセンサがある。また,フローセンサなどで多く使用されているマイクロバルブは,設計手法が未確立のため設計に多くの時間とノウハウが要求されていたが,新しく提案された流体モデルを用いることで,使用用途に応じたバルブ設計が容易となった。さらに,燃焼制御のための排ガスモニタ用のZrO2とPt電極を用いたO2センサでは,電極界面抵抗を低減するためのGLE(Graded composition Layer Electrode)を開発し,線形性の高いO2センサを実現している。
2. ボディ制御
ボディ制御システムは,自動車内の環境向上によって運転者の安全性,利便性を実現するシステムである。車内の温湿度・圧力を測定する集積化環境センサ,動的に露点を検出する結露検出センサ,車内の空気清浄度を測るCO2センサ,内装材料などから発生するVOC(揮発性有機化合物)ガスセンサなど,運転者の運転環境をつぶさに観測することで,安全性を確保する。
また,悪天候や後退時など,運転者の視界を補助するための各種イメージセンサや,義務化されつつあるタイヤ空気圧の個別モニタシステムの開発などにもMEMS・ナノテクノロジーが利用されている。
3. シャーシ制御
自動車の基本性能である「走る,曲がる,止まる」には,運転者の技能と車両の性能が大きく関係している。車両(シャーシ)制御システムでは,運転者の技能を補助し,安全性の向上を図るため,自動車の挙動を左右する慣性を検出する慣性センサ(加速度センサ,ジャイロセンサ)が重要となる。加速度センサはすでに市場が成熟しつつあり,高S/N化,温度特性向上,多軸化なども重要となる。また,ヒータと温度センサを用いた可動部のない加速度センサなどは,消費電力問題を除けば,熱を利用したMEMSデバイスの実用性という面で非常に興味深いセンサである。
参考文献
1)2007 マイクロマシン/MEMSの最新動向と製造装置・部材産業,プレスジャーナル(2007)
| プレスジャーナルでは,特別調査レポート「2008 自動車用半導体&エレクトロニクスの最新動向」を発行しております。自動車市場をはじめ,ECU・関連市場,自動車用半導体市場の現状と将来展望を徹底予測,さらに主要自動車メーカー各社のエレクトロニクス化への取り組み,注目の自動車関連技術の最新動向などを網羅しています。くわしくはこちらから |