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次世代ディスプレイの雄 電子ペーパー

電子ペーパーに見る確かな成長の手応え
フレキシブル,フルカラー,高速応答
それらのブレークスルーが新市場を創る

清水聡/調査部

電子ペーパーは,紙の長所とされる視認性や携帯性を保ったディスプレイであり,表示内容を電気的に書き換えることができる。反射型であるため,バックライトが不要で,LCDパネルなど他のディスプレイに比較して消費電力が少ない。また,電源の切断後も表示内容を維持できる点が大きなポイントとなっている。現在の市場規模は,FPD市場全体のわずか数%に過ぎないが,フレキシブル化,フルカラー化などの技術革新により急成長する可能性を十分に秘めている。

電子ペーパーとペーパーレス化1)

昨今,電子ペーパーの実用化が大きな注目を集めているが,これは第三次ペーパーレス問題として捉えることができる。第一次は80年初め頃,PCの普及に伴い情報はCRTモニタで見られ,紙が不要になるというペーパーレス化であったが,その後,情報量の増加に伴い,紙の使用量は増加した。第二次は95年頃からのインターネットの普及に伴い,電子本,オンライン本などが活字本を減少させるとした出版の電子化であった。しかし,これも目に見える発展はしていない。これらに共通な問題はデジタルコンテンツを読むための人に親和性ある,表示メディアがなかったことである。
第三次は,00年頃から,環境問題が背景となって紙の使用量の削減が課題になるとともに,CRTや従来のLCDとは異なる特徴を有する新たなディスプレイが次々に提案され,紙に代わり得る表示メディアへの期待が高まった。電子ペーパーは,これらの問題に対応でき,紙メディアの特徴的機能を併せ持つヒューマンフレンドリな表示メディアである。三度目の正直としてまず,本格実用化を実現する事が強く期待されている。

表1 電子ペーパーの各種技術

表示方式 開発メーカー 特徴・動向
液晶
コレステリック
富士通
RGBの3層構造,明るいカラー表示。電車内,公共広告
旭硝子
2層構造,4色カラー表示,材料からシステムまで一貫生産。時刻表で実証試験
TN
ZBD
基板表面の微細構造により画像保持性
BiNem
上下基板の配向制御により画像保持性
強誘電
シチズン電子
モノクロ表示,時計,棚札や電子書籍用
粒子移動
電気泳動
E Ink/凸版印刷
実用化で先行。e-book,e-POP,時計,メモリ残量表示など多方面で採用進む
SiPix
樹脂基板を用いたロール・ツー・ロール生産が特徴。値札用途で実用化。大型時計用途にも展開中
粉流体
ブリヂストン
0.2msecの応答速度とパッシブ駆動が特徴。値札,情報ボードから参入予定
化学反応
クロミック
NTERA
TiO2による白反射率が高く,コントラスト比1:20を実現。最近,白/黒表示が可能となった

出所)ブリヂストン


フレキシブルディスプレイ市場

電子ペーパーに限らず,LCDや有機ELにおいても,フレキシブル化の実現が次世代アプリケーション創出の一つの鍵といえる。しかし,フレキシブル化に最も近い表示技術が,電子ペーパーであることは間違いない。
現在のフレキシブルディスプレイ市場は,5000万ドル程度と推計されるが,10年頃から急成長し,10年には5億ドル,12年に10億ドル,そして15年には20億ドルに迫る規模にまで拡大すると予測される。
その際,牽引役として期待されるのが,デジタル標識・看板である。例えば,電車内の情報表示版として電子ペーパーを用いれば,電車の走行に合わせて,その地域に則したローカル情報を表示することも可能となる。また,最新情報をいち早く掲載することも可能であり,そのメリットは計り知れない。さらにコンテンツ・ブラウザとしても注目される。そこでは,ディスプレイ自体の性能もさることながら,配信コンテンツがどれだけユーザーを魅了できるかが重要となる。ゲーム機が良い例で,ソフトの出来が本体の売り上げを大きく左右する。

海外が先行

図1 フレキシブルディスプレイ市場推移
図1 フレキシブルディスプレイ市場推移  出所)DisplaySearch

電子ペーパーのアプリケーションとして,電子ブックが以前から製品化されている。しかしながら,国内では思いの他,市場が形成されていないのが現状である。著作権問題や書店などとの関係により,コンテンツや販売網が限られていることが主な要因である。一方で,海外市場では,書籍関連の電子化が驚くべきスピードで進んでいる。一部の地域では,電子ブックを活用した電子新聞サービスなども開始され,日本市場は出遅れた感がある。技術的には,海外を大きくリードしている日本。市場においても,マーケットリーダーとして,牽引していくことを望まずにはいられない。

〈参考文献〉
1)電子ペーパーコンソーシアムHP


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