クリーン化の要 半導体・FPD洗浄技術
半導体は微細化への対応
FPDでは大型化に加えた環境対応トレンド
半導体・FPD洗浄技術の今(2)
小林行雄,岡田啓/編集部
急進する韓国・台湾製装置
一方,FPD用の洗浄を含めたウェットプロセス用装置市場は,厳しい状況にある。パネルメーカーの投資抑制に加え,安価な韓国・台湾メーカー製の装置が市場で存在感を発揮しているからである。特に韓国メーカーにおいて顕著な傾向であるが,プロセス技術を吸収したパネルメーカーの技術者がスピンアウトし,装置メーカーを立ち上げるというケースが見受けられる。新興装置メーカーがターゲットとするのは,技術障壁の低い分野であるため,FPD用製造装置においては,まず洗浄装置を含めたウェットプロセスから市場に参入する流れが形成されているという。
半導体洗浄装置であれば,最先端の製造プロセスにおいて先端技術を有する日本の洗浄装置メーカーは優位性を主張できる。しかし,半導体とFPDの洗浄で事情が異なるのは,やはりプロセスの微細度である。ナノメートルオーダーの半導体プロセスと比較すればFPDにおける製造プロセスは微細とはいえず,洗浄に求められる仕様も半導体ほど厳しいものとはならない。
FPD製造プロセスにおいて,半導体の微細化と比較して語られるのはガラス基板の大型化であり,装置メーカーはいかにして巨大化する基板に対応するか,という点を重視してきた。しかし基板の大型化が進むにつれ,投資を継続して大型の基板で製造を行うメーカーと,そうでないメーカーとの明暗がかなりはっきりと分かれてきた感がある。これによって大型基板のラインは自ずと限られ,製造装置メーカーの分け合うパイが小さくなる構図となっている。加えて,前述したように安価な韓国・台湾製装置が市場に参入しており,不透明感が強い状況となっている。
FPD洗浄装置に求められる要件
また,FPD製造装置メーカーにとっては,先に発表された韓国におけるパネルメーカーの相互協力も無視できない話題の一つである。というのも,これまで韓国においてはSamsung系列のパネルメーカーであればSamsung系列の装置メーカーが,LG系列のパネルメーカーであればLG系列の装置メーカーが装置を納入する「縦のつながり」が強かった。裏を返せばサプライヤが限定される状況であったため,少なくとも高い技術力と経験が要求されるライン立ち上げ時においては,日系メーカーの装置が納入できる状況があった。しかし今回の相互協力により,系列の枠を越えた装置供給が始まる可能性もあり,日系メーカーの装置採用がより厳しくなるとの懸念が出ている。
今後FPDウェットプロセス・洗浄装置メーカーがシェアを確保するための条件としては,(1)純水・薬液などの使用量削減およびリサイクル対応,(2)省エネルギー化を含めた環境対応,(3)基板の大型化によって求められる装置の省フットプリント化,(4)エッチングにおける面内均一性の確保,といった点が考えられる。実際,芝浦メカトロニクスが縦型基板搬送を用いたプロセス処理装置を開発し,省フットプリント化や薬液・純水使用量の低減を実現している。日立ハイテクノロジーズは,ウェットに加えドライでの洗浄にも対応し,ライン構築の柔軟性をメリットとした装置を発表している。大日本スクリーン製造も傾斜搬送方式を採用した洗浄装置をコータ&デベロッパとシステム化してリリースするなどの取り組みを行っている。こういった独自性のある取り組みを打ち出していくことが,シェア獲得の大前提であると考えられる。
結局の所,FPD製造装置メーカーの売り上げはパネルメーカーの設備投資動向に大きく左右される。とはいえ,投資が行われるタイミングにおいて最良の装置が選択されることは疑う余地がない。パネルメーカーの投資は07年後半から活発化するとの見方が強く,各FPD製造装置メーカーの業績は08年に入って伸長すると考えられる。確かに日本メーカー製装置はイニシャルコストの面において有利とはいえない。しかしながら,大型基板の省フットプリント化や環境対応などの面では一日の長がある。投資再開の時点で,パネルメーカーの要求仕様に対応できる体制を築いている装置メーカーが今後勝ち残ることだけは確かである。