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有機ELが変えるFPDのトレンド

FPD-TVが支えるカラーTV市場
50型以上への主戦場シフトで競争激化
地域別では,中国での戦略が鍵

清水聡/調査部

有機ELレポート

07年のカラーTVの世界市場は,前年比3.9%増の1億7750万台と推計される。製品別の内訳は,CRT-TVが同10.6%減の1億632万台,LCD-TVが同43.5%増の5327万台,PDP-TVが同38.9%増の1350万台,プロジェクションTVが同10.1%減の441万台。一方,地域別の内訳では,中国市場が同8.8%増の3742万台と,前年に引続き世界最大の市場を形成している。カラーTV市場の現状,将来展望をレポートする。

FPD-TVが市場を底支え

カラーTV市場の今後の動向を見てみると,ロシアやその他の中東欧諸国にもフラット化の波が押し寄せるものと思われる。そのため,09年にはFPD-TVの需要がCRT-TVを超えるものと予測する。なお,図1に示す通り,CRT-TVの需要は年々減少を続け,その減少分を補う形でFPD-TVが増加していく傾向は今後も変わりはない。
そのような状況の中,FPD-TVの需要も,主要先進国での普及率の高まりで,これまでのような高成長が期待できないことも確かである。ここでは,07年12月からソニーが販売を開始する有機EL-TVの販売台数は含まれていないが,同社の発表によると当初は月産2000台とのことであり,市場を大きく牽引するにはもう少し時間が掛かるものと思われる。

図1 カラーTV市場推移
図1 カラーTV市場推移

出所)JEITA


FPD-TVの鍵は中国市場

そこで注目されるのが中国市場だ。07年の中国におけるTVの販売台数は3742万台と世界最大。日本の3倍以上の規模を誇る。そして特筆すべきは,その70%以上が未だCRT-TVであり,FPD-TVの市場ポテンシャルが非常に多く残されていることである。さらに,08年には北京オリンピックが開催される。これにより,中国のTV市場は急拡大するものと思われる。
一方で,中国のTV市場は,主要国内メーカーの寡占状態にある日本市場とは違い,日本,韓国,中国,欧州の有力メーカー(松下電器産業,海信,Samsung Electronics,日立製作所,長江,ソニーなど)が拮抗して,しのぎを削る状態にある。この団子状態の中からどのメーカーが抜き出ることができるのか,または,脱落するのか注目される。また,FPD-TVへのシフトに伴い,シャープやLG Electronics,Royal Philips Electronicsなども攻勢を強めることは必至で,さらなる混戦も予想される。

表1 FPD-TV比率の推移(単位:%)

  03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年
世界計 3.0 7.7 16.1 27.4 37.6 46.1 53.1 59.7 64.5
日本 17.1 32.3 53.0 77.1 88.2 93.0 97.1 99.9 99.9
中国 0.4 1.6 6.1 14.2 24.2 35.9 43.7 50.7 56.7
米国 3.3 9.0 19.9 40.6 61.4 72.0 78.6 84.5 88.2
欧州 4.7 12.7 29.1 48.2 62.4 73.0 80.7 86.0 89.6
その他地域 0.7 3.9 7.5 10.9 15.4 21.3 27.9 35.0 40.1

熾烈な価格競争

07年のカラーTVの世界市場は,LCD-TVやPDP-TVなどの薄型TVが市場を牽引していることは先述の通りだが,そのFPD-TVの普及拡大の主な要因として挙げられるのが,メーカー間の熾烈なシェア争いによる急激な価格下落である。特に,40型以上の大型TVにおいては,LCDとPDPの価格競争が激しさを増しており,これまで40型以上の大型TVでは,PDPがLCDに対してコスト競争力を維持してきたが,その差は縮まっている。
大型FPD-TVの主戦場である米国では,価格下落が特に著しい。その背景には,垂直統合を進めるFPDメーカーが抱える問題点もある。薄型TV市場の創世期には,パネルの調達能力がTVメーカーとしての競争優位性を決める重要なポイントであった。しかしながら,周知の通り,パネル生産には巨額の設備投資が要求され,さらに普及を図るにはパネルの生産能力の拡張を進めることが不可欠で,TVの販売台数を上回る生産キャパシティが過剰な供給を生むようになってしまった。
特にPDPメーカーは,LCDのようにPC向けなどにパネルを振り分けることがでない。このため,サイズ面では大型TVに特化せざるを得ないという構造的な問題がある。さらに,06年第3四半期以降は,LCDメーカーの強力な攻勢があり,40/42型を中心に大型TVへの本格的な参入によって,PDP-TVの実売が伸び悩み,在庫の増加につながってしまった。
これまでPDP-TVの中心的なマーケットであった米国では,大型LCD-TVの普及が拡大しており,PDP-TVの構成比率が低下しつつある。このような状況に対して,松下は,値下げによってシェアの拡大を図ったが,大幅な販売価格の下落を強いられたことは,PDPにとって大きな痛手となった。
一方で,今後のマーケットを見てみると,50型へのシフトが課題となる。同サイズをボリュームゾーンにするにはしばらく時間がかかるとみられるが,シャープの第8世代ラインが2年目に入ることやSamsung Electronicsの第8世代ラインの稼働によって,LCDメーカー各社もターゲットを46型/52型/57型に上げてくるとみられ,主戦場が50型以上に移行することは確実視されている。だが,ここで注目しなければいけないのは,リアプロジェクションTVである。50型以上は,同TVがボリュームゾーンとしているところであり,当然,価格訴求力によって,市場を死守するはずである。08年以降の価格競争は,LCD,PDP,リアプロによる三つ巴の戦いとなり,これまで以上に目が離せない。

プレスジャーナルでは,特別調査レポート「2008 有機ELの最新動向と製造装置・部材産業」を発行しております。アプリケーション別に市場を分析するだけでなく,製造装置・部材市場,主要関連メーカー動向,さらには各種技術動向も詳述,業界を完全に網羅する構成となっています。くわしくはこちらから

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