次代を担う注目技術 薄膜系太陽電池
サスティナブル・テクノロジーの機能表面膜
造膜内における新たな光の自然放出実現で
太陽電池の光透過率を最大で6ポイント向上
調査部
最大6ポイント透過率向上

図1 外部浮遊物が付着した場合の模式図
サスティナブル・テクノロジーは,様々な応用分野にチタン水分散液を用いた新技術・高機能剤を提供する研究開発型の企業。主な応用分野としては,建材や自動車などが挙げられるが,現在,同社が新たな応用分野として事業展開を図っているのが太陽電池である。
開発の出発点は,太陽電池メーカーからの「汚れによる太陽光の透過率低減対策」というニーズ。その開発を進める中で,透過率の向上には,光の反射率低減が重要な要素(反射率低減分が透過率側へ付加)であることから,ARコートをイメージした開発が進められた。
チタン自体は,反射率の非常に高い物質であり,様々な工夫・ノウハウにより,通常8%程度ある反射率を2ポイント程度低減させることに成功した。
しかし,実際の透過率を見てみると,2ポイントではなく,最大6ポイントも改善されていることが確認された。つまり,同社が提供する機能表面膜は,単なる反射率低減技術ではなく,造膜内で,新たな光の自然放出を発現させることが可能な,従来にない技術となる。
あらゆる波長の太陽電池に対応
同機能表面膜の製造はいたってシンプル。先述のチタン水分散液をガラス基板上に塗布して焼成させる。通常,太陽電池用のガラス基板は,強化ガラスが用いられているが,そのガラス強化プロセス前に塗布すれば,1度の焼成で強化および同機能表面膜を成膜することができる。
一方,太陽電池は,セル方式によって変換に最適な光の波長が異なる。しかし,チタン水分散液では,塗布する膜厚および組成を変化させることで,すべての方式の太陽電池に対応できるとしている。さらに,同機能表面膜には有機物がまったく含まれない。つまり劣化要因がない。そのため,ガラス基板の寿命がそのまま同膜の寿命であると考えることができる。
防汚機能も有する優れもの
冒頭でも触れたが,開発の出発点は汚れの防止。その機能も重要な特徴の一つである。通常,一般的な汚染物は,プラス電荷のみを有しているものと,プラスとマイナスの電荷が混在する花粉などのごみの二つに分類することができる。そのため,例えば,プラス電荷のみを有する有機物のごみの付着を主に防ぎたいのであれば,機能表面膜中の電化を同じプラスにすることで,電荷同士が反発し,流水や風雨などで容易に汚れを落とすことのできる,防汚機能を持たせることができる。
なお,機能表面膜上は凹凸状になっているが,凹み部分の直径は10〜20nm程度。一般的なごみの直径は最小粒径でも100nm程度であり,その点においても,付着のしにくい構造となっている。
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