半導体/FPDの今 装置・部材メーカーの戦略
Excellent Company の次世代戦略
株式会社日本レーザー
迅速な経営判断と幅広い戦略的な提携
HDカンパニーの利点を生かした新ビジネスモデルも視野に
07年のMEBOによる独立で,より迅速な経営判断・幅広い戦略的な提携などが可能となった日本レーザー。今年,08年は創立40周年という節目の年を迎える。売上高は約36億円,受注高は40億円を目指す中,中期的展望としては売上高50億円も視野に入る。そこに至る布石・戦略を代表取締役社長の近藤宣之氏に聞いた。
07年6月にMEBOで独立

▲代表取締役社長 近藤宣之氏
周知の通り,日本レーザーは,07年6月にMEBO(経営者と従業員による会社買収)を行い,親会社であった日本電子が保有していた日本レーザーの株式のすべてを買い取り独立。現在,同社は,持ち株会社として新しく設立したJLCホールディングス(JLCHD)の100%子会社(社長には近藤氏が就任)となっている。
なお,JLCHDの株主構成については,日本電子の出資比率を15%未満(14.9%)とし,残りの85.1%の構成については,個人株主ではなく,近藤氏を含む役員持ち株会が53.1%,社員持ち株会が32%とすることで,新たな経営環境でのスタートを切った。
経営の迅速化と社内モティベーション

図1 日本レーザーの業績推移
では,日本レーザーがMEBOの先に目指したものは何か。まず第一が,経営の迅速化だ。当然ながら,日本電子が70%の出資比率を有していた時には,戦略的な提携や海外サプライヤとの契約に際しては,常に日本電子の判断を仰ぐ必要があった。しかし,日本電子は製造メーカー,日本レーザーは輸入商社,立場の違いで理解が得られず,保守的な判断となることもあった。また,社内に目を向ければ,役員などへの抜擢人事においても,承認・理解を得るために相当の時間を要するというデメリットがあった。しかし,今回のMEBOはこれらの問題を一気に解決することとなった。
一方で,近藤氏は「MEBOから1年弱を経た今,社内のモティベーションの向上。そして,社員の仕事に対する緊張感が以前にも増して高まってきた」と指摘する。先述の人事面がその一例だが,生え抜きの能力ある人材が取締役あるいは将来的には代表取締役に就任することも可能となった。その反面,日本電子という親会社の後ろ盾がなくなり,損失を計上した際の資金・借り入れを,念頭に置かねばならず,経営者である近藤氏は勿論,出資者の一員(社員のほぼ全員が出資)でもある社員一人ひとりも,良い意味での緊張感を持って,日々の業務に取り組んでいるという。
引続き黒字経営を達成
今回,MEBOを成功させた大きな要因の一つが,継続的な黒字である。3期連続の赤字決算を続けていた94年,近藤氏が再建請負人として就任して以来,毎年業績を拡大し,黒字経営を続けている。
07年3月期の業績を見てみると,売上高は前年同期比19.7%増の33億600万円,経常利益は同16.4%増の7100万円であった。今期については,MEBOにより決算期が12月に変更されたため,9か月分の業績となる07年12月期は,売上高が23億4300万円,経常利益が2800万円としているが,引続き黒字経営を達成していることに変わりはない。なお,旧会計年度(07年4月〜08年3月)ベースでは,売上高が36億2300万円,経常利益が1億2900万円としており,利益に至っては同80%以上の驚異的な伸びを示している。
多岐にわたる事業分野

▲NewFocusの製品群

▲Sympatecの「NANOPHOX」
同社の取り扱い製品・事業は,非常に多岐にわたる。事業の主力となっているのは,レーザ機器(アクセサリ含む)。医療,科学,家電などの幅広い分野で使用されており,海外の30社以上のサプライヤと代理店契約を締結し,最先端の製品を提供している。また,年間数億円の売り上げを確保するNew Focusのカタログ事業も,顧客数の拡大を図る事業として,注目が集まる。
一方,産業機器関連としては,OEM製品が挙げられる。高度な加工・計測装置には,最先端のレーザ製品が不可欠であり,技術革新に取り組むメーカーと,緊密な関係を構築しながら,ベストマッチの製品を提供・模索している。さらに,半導体やFPD関連ではSympatecのレーザ回折式粒子径分布測定装置やSAMTECの超音波顕微鏡などの計測応用装置,Heidelbergのレーザ描画装置などの加工応用装置の採用が広く進んでいる。
08年以降に向けたビジネス戦略
1. サポート・サービス体制の充実
生産ラインにおけるレーザの導入・採用では,技術サポート・アフターサービス体制の拡充はユーザーにとって重要なポイントとなる。現在,日本レーザーでも,東京で4名,大阪で2名のレーザ専門のサービスエンジニアを配置しているが,今後,体制を強化することで量産向けビジネスを拡大するとともに,他社の製品にまでサポート分野を広げることで,サポート・サービスを一つの事業にまで高める構えだ。
2. 40周年に受注40億円目指す
68年に設立され,08年で創立40周年となる同社では,「40にちなんで,本年は受注高40億円を目指しています。さらに,今後数年内には売上高でも45〜50億円を達成できるでしょう」と近藤氏は語る。ただし,さらに上の100億円を目指した場合には,ホールディングカンパニーの利点を生かし,海外サプライヤとのジョイントベンチャーや日本法人の設立を積極的に支援することで,それらをグループ会社とする新たなビジネスモデルを構築する必要があるという。