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図1 オムロンのMEMS商品 |

▲MEMSマイクロフォンの外観
オムロンは,80年代後半にMEMS技術の研究に着手した。そして,90年代後半には静電容量型の血圧計用の圧力センサ,および車載のサスペンションコントロール用の加速度センサの量産を開始した。その後,ガスメータ用の圧力センサ,気体の流量を測るフローセンサといった,単機能なMEMS製品から商品化は始まった。しかし,今後は,デバイスの集積化・複合化を進めながら,より高度な製品の商品化を目指す。MEMSマイクロフォン,RFスイッチ,サーマルアレイセンサ,さらにはフローセンサと圧力センサを応用させた,コンビネーションセンサなどの商品化を進めている。
同社では07年12月,国内初となる,自社製品開発から量産までの8インチMEMS一貫ラインを立ち上げた。同ラインでは,三次元構造体を形成するためのSiウェーハを加工するエッチング装置や,薄膜を形成するための成膜装置をはじめ,MEMSデバイスの生産に必要な設備を導入。そして,08年4月度よりMEMSマイクロフォンの量産をスタートさせ,高周波のRF MEMSスイッチや高機能マイクモジュールといった,今後需要増大が見込まれるMEMSデバイスの生産を順次行っていくという。
なお,08年度中には8インチMEMS製品で月産約1000枚の量産体制を整える予定。
同社のMEMS技術により,微細構造を実現したMEMSフローセンサは,ヒータによる熱の動きを利用する質量流量検出方式を採用しており,温度,圧力の影響が少なく,高精度で流量域の広い気体流量計測を可能としている。同センサの素子は,1.55mm×1.55mm×0.4mmの微細なSi基板上に,上部絶縁薄膜と下部絶縁薄膜を形成し,その中心にヒータとサーモパイルを,その外側に周囲温度センサを薄膜形成している。測定原理は,チップ付近の空気は,流れのない状態ではヒータを中心とした温度分布が左右対称となり,流れを受けた状態では,ヒータの風上側の温度が低く,風下側が高くなり,温度平衡状態が崩れる。この温度差をサーモパイルの起電力差としてセンシングすることで質量流量に応じた流速を計測することができる。

図2 マイクロフォンチップの構造

図3 小型マイクロフォンの市場規模
マイクロフォンとは,音を電気信号に変換する機器である。現在,マイクロフォンの年間販売数は20億を超えており,この販売量ゆえにマイクロフォン市場が注目されている。オムロンでは,長年培ってきたMEMS技術を集約し,膜薄制御技術を用いた4点支持ダイヤフラム構造の振動膜と独自のウエットエッチング工法により,小型のMEMSマイクロフォンチップの開発に成功,商品化に成功した。具体的には,(1)機械的特性を制御した多層薄膜の形成,(2)ウェットエッチングによる独自のウェーハ深堀り三次元加工,(3)そして,数層の膜のうち,製品に不要になる層のみを特定して溶解させ,所定の膜層のみを残し形成する技術によるもの。その結果,高さ1.10mmという極薄パッケージMEMSマイクロフォンモジュールを実現。また,マイクロフォンの弱点であった熱への耐性の低さも克服すべく,耐熱設計の最適化により,リフローによる表面実装を可能とした。さらに,モジュールのメタルリッド(蓋)に形成した音響孔の小型化にも伴い,耐環境性に優れた新しいマイクロフォンが日の目を見た。
表1 MEMSマイクロフォンの特性
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図4 4点支持ダイヤフラム構造
マイクロデバイス事業部では“Beyond the Semiconductor”を社内のビジョンとし,半導体プロセス開発技術,生産技術,設備保全技術などアプリケーションノウハウ,コンポーネント開発力を組み合わせることにより,さらなる商品力アップを目指している。これによって,半導体メーカーだけでもできず,コンポーネントメーカーだけでもできない高付加価値商品化による事業展開を行っていくという。