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真空を取り巻く新たな潮流

日本の基幹産業を支える真空技術
FPD,薄膜太陽電池関連の投資で市場拡大
海外,地場メーカーの台頭が懸念

清水聡/調査部

半導体やFPD,自動車など,日本を代表する産業の基幹技術である真空。昨今では,薄膜系太陽電池などが新たなアプリケーションとして市場を牽引し,真空産業の裾野はさらに拡大している。一方で,アジア地域の地場メーカーの台頭が今後懸念材料。特に中国の成長が著しく,注目していく必要がある。

真空業界の現状と動向

真空業界の参入メーカーは,中小企業から大企業まで幅広く,日本真空工業会(JVIA)に所属するメーカーは130社程度であるが,実際にはさらに多くの企業が真空技術を駆使して,宇宙産業から食品まで幅広い分野に製品や技術を提供している。なお,半導体やFPD分野では,メーカーの統廃合が進展したが,真空機器関連では各メーカーが強みを生かしたビジネスを展開しており,国内の真空産業では大きな統廃合は見受けられない。
一方,真空技術は,古くは真空整流器の排気,電子管の排気などから端を発しているため,50〜60年代に多くの中小企業が真空業界に誕生した。その後,真空技術の特徴を生かした応用や技術が広がり,多くの用途に用いられるようになっている。
現在,真空技術が最も注目されている業界は,情報機器やデジタル家電などを取り扱う分野である。あらゆる産業の礎であり,半導体デバイス製造の他,LCD-TV,DVDディスク,携帯電話,カーナビゲーションなどに用いる部品製造には,薄膜形成,薄膜加工,表面改質などの各装置が重要な役割を担っている。
その規模は,半導体製造装置やLCD製造装置では,金額ベースで,前工程の30%が真空装置である。さらに,昨今話題の太陽電池では,特に薄膜系太陽電池で真空技術が需要な役割を担っており,今後のさらなる市場拡大が注目される。

真空業界の競争力

日本の真空産業は,半導体産業やエレクトロニクスの発展に牽引されてきたため,半導体製造装置やLCD製造装置などの分野では,世界をリードしている。
しかしながら,化学工業,金属材料精製や処理,印刷機械などの分野で使用される装置類が欧州で開発されて広まったこともあり,日本でも欧州の真空機器を使用するメーカーが多い。
一方,半導体やLCDの生産拠点が,アジア地域に移管されているが,そこで使用されている製造装置の多くは,日本製である。だが,地場のメーカーが日本を含む海外メーカーの製造装置を見本として,これらを内製する方向に転換しており,新たなメーカーがそれらの地域で続々と生まれている。なお,中国では,企業数だけを見ると,すでに日本を上回っているとの声も聞こえる。

受注は大幅増加,売り上げは微減

ここで,JVIAが発表した真空機器の08年第1四半期の受注・売上状況を詳述する。同四半期における全真空機器の受注高および売上高は,直前期比でともにプラス成長となった。前年同期比では,受注高は大幅増,売上高は微減となっている。
08年第1四半期の真空機器受注・売上統計をみると,前述の通り,受注高・売上高ともにプラス推移となった。売上高については,07年Q3からの半導体装置の不況をFPD・太陽電池の装置需要でカバーする形となり,大幅な回復がみられた。08年第1四半期の全真空機器の受注高は,前年同期比19.9%増の2284億3500万円となった。内訳は,真空装置が同24.0%増の1768億7700万円,全コンポーネントが同1.7%増の394億3300万円,役務が同32.5%増の121億2400万円となっている。また,真空機器の売上高は,前年同期比0.1%減の2037億6100万円となった。内訳は,真空装置が同2.6%減の1497億6000万円,全コンポーネントが同1.9%増の403億300万円,役務が同29.7%増の136億9900万円となっている。

図1 全真空機器の売上高推移

図1 全真空機器の売上高推移   出所)JVIA


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