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セミナー報告

07春季半導体シンポジウム
−次世代300mm Fabにおける生産革新 −

07年2月23日,東京・神保町の学士会館にて,プレスジャーナル主催「07春季半導体シンポジウム 次世代300mm Fabにおける生産革新」が開催された。同シンポジウムでは,次世代の半導体工場において,いかに生産性を向上させるかの他,生産性向上を実現する次世代の半導体製造装置,搬送システム,ソフトウェアなどの解説がデバイスメーカーならびに製造装置メーカー各社より語られた。

こまめ生産を提唱
「次世代300mm Fabに求められる生産性革新」
NECエレクトロニクス 本間三智夫氏

NECエレクトロニクス 本間三智夫氏
NECエレクトロニクス 本間三智夫氏

次世代の300mmウェーハ対応Fabに向けて今後どのようなラインを作っていけば良いのかという観点から,こまめ生産方式を提案した。こまめ生産方式とは,ロットサイズを小さくしながらも,装置のオーバーヘッド(段取り)を極力小さくすることで連続して装置にウェーハを供給して生産していく製造方法である。段取りには,プロセスの前後にかかるロードポートの載せ下ろしやレシピのダウンロード,装置の安定化,クリーニングなどの工程が存在しており,一般的にロットを減らすと段取りが増えることとなり装置の有効稼働率が低下することとなる。こまめ生産を実現するためにはこの段取りを減らす必要があるが,そのためには装置の安定化や工場の計画系情報と実行系情報の最適化などが必要であるとした。また,装置能力の違いなどによるラインバランスにも考慮することが重要であるとした。

一方,ITRSのロードマップでは,12年に450mmウェーハが登場すると記されているが,その前に現在のFabに存在している課題を解決しないと,半導体全体の利益そのものが崩れてしまうこととなる。そのような課題を総合的に解決するためには,製造プラットフォームを再構築し,その上でこまめ生産を実現することが重要であるとした。

枚葉超TAT化を実現
「次世代300mm Fabの枚葉超短TAT化」
ルネサス テクノロジ 若林隆之氏

 ルネサス テクノロジ 若林隆之氏
ルネサス テクノロジ 若林隆之氏

先端SoCを製造するラインの効率を向上させようとした場合,無駄な装置を買わずに現有している装置で能力を達成させるという生産効率の向上が必要となってくる。そこには装置の無駄な時間を徹底的になくして,生産効率を向上させるというアプローチが必要となる。こうした取り組みを行うことにより,設備余剰を低減させることが可能となるとした。具体的には設備の停止時間短縮や停止頻度低減,段取り削減,短時間切り替えなどを行う必要があるとし,特に設備停止時間の短縮はスループット向上の観点だけではなく,すべての設備を100%使い切るような高効率運用が求められるとした。

なお,設備停止短縮には停止時間を短縮,停止頻度を短縮,停止間隔を短縮し1回当たりの停止時間を短縮,の三つの考え方があり,中でも停止間隔を短縮し1 回当たりの停止時間を短縮では,1回当たりの停止時間を短縮することで,仕掛かりの変動が抑制され,平準化生産,TAT短縮に効果があることから,装置メーカーともども実践していかなくてはならないとした。

EB直描による試作シャトルサービス
「EB直描LSI試作シャトルサービスによる新たな挑戦」
イー・シャトル 土川春穂氏

イー・シャトル 土川春穂氏
イー・シャトル 土川春穂氏

イー・シャトルは,半導体試作用のシャトルサービスの構築と提供および90/65/45nmプロセスにおけるEB直描技術の開発を行うために06年11月に設立された。同社の出資比率は,富士通55%,アドバンテスト45%となっており,本社は富士通川崎工場内に,シャトルサービスを行うイー・シャトル EBショップを富士通三重工場内に構えている。

イー・シャトルが提供するシャトルサービスは,従来社内向けに行っていたマスク露光シャトルサービスを社外の顧客にも提供するもの。また,マスク露光からマスクレスのEB直描シャトルに移行することで,チップ開発期間の短縮とコストの削減を図っている。まずは,マスク費用の高い微細な下層微細配線工程(FEOL)にEB直描を導入し,その後,適用範囲を配線工程(BEOL)に拡大する計画である。

すでに同社は,90nmおよび65nmプロセスのマスク露光シャトルサービスを開始しており,FEOLを対象としたEB直描シャトルサービスは,65nm プロセス向けを07年9月に,90nmプロセス向けを同年11月に,BEOLを対象としたEB直描シャトルサービスは,65nmプロセス向けを08年4月に,90nmプロセス向けを同年7月に開始する予定。45nmプロセスへの対応は09年4月を予定している。

枚葉搬送による短TATとコスト削減
「次世代の300mm Fab枚葉搬送System Innovation」
e-CATS 林武秀氏

e-CATS 林武秀氏
e-CATS 林武秀氏

次世代300mm Fabの形態は,小規模工場と大規模工場の二極化が進むと考えられる。小規模工場は,少量多品種生産,短ライフサイクル,短TATが求められるシステム LSIなどの生産に適しており,ウェーハは1枚単位で搬送される。一方,大規模工場では,大型製品の生産や少品種多量生産が求められるMPUやロジック, DRAMなどの製品に適しており,ウェーハは25枚単位で搬送される。

半導体工場において,生産性を高めながらコストを削減するには,搬送システムの最適化が欠かせない。そこで,期待されているのがウェーハの枚葉搬送システムである。枚葉搬送システムを導入するメリットは,Time to Marketの実現,TAT短縮,自動搬送システムのコスト削減,仕掛かりと製品在庫の削減,工場投資額の削減,プロセス装置稼働率の向上などが挙げられるとした。

ストッカによる搬送限界への対策
「次世代半導体工場の搬送システム」
村田機械 山本眞氏

村田機械 山本眞氏
村田機械 山本眞氏

山本氏は,300mmウェーハの自動搬送システム(AMHS)の課題や解決策などについて語った。AMHSがなければ,特に300mm以上のウェーハに対応した工場は回っていかないと述べ,村田機械に課せられている使命は,何があっても絶対にAMHSが動いていなければならないこととした。

300mm対応Fabは90年代後半から登場したが,動く際に必ずストッカを介さなければならないところから,搬送限界が大きな課題である。ストッカが入ってから出てくるまで最低30秒程度かかってしまう。そこで,既存のAMHSの搬送限界への解決策として,OHB(Over Head Buffer)を搬送の役割から外し,保管の役割にすること,OHBはWIP用のバッファとして活用し搬送能力を上げること,イントラベイへの出入り口にバイパストレーンを設け渋滞を回避することなどを挙げた。

CPによる描画方式を提案
「次世代のEB直描機」
アドバンテスト 坂本樹一氏

アドバンテスト 坂本樹一氏
アドバンテスト 坂本樹一氏

坂本氏は,EB直描機で必要な技術として,安定稼働の確保や精度向上補正技術を挙げた。安定稼働への取り組みは,精度不安定化要因を除去する目的でクリーニングガスを導入,電子ビームを当ててきれいにする方法を挙げた。また,精度向上補正技術への取り組みは,精度向上の「ものさし」を作り,要因成分に分離,ズレを補正する方法を提案した。

さらに,EB描画の重要な課題がスループットであることを挙げた。EBは微細化によりポイントビームのサイズが小さくなるにつれ,単位時間当たりの平均描画面積も小さくなってきた。これにより,ショット数が多くなり,スループットが低下した。そこで,アドバンテストではCPという描画方式の提案を行っている。これは,ペンタイプではなく,スタンプのように押すタイプであり,以前はブロック露光と呼ばれていた。これにより,ショット数を削減することが可能となる。例えば,2μm角のショットは,VSBが192ショットに対してCPは1ショットとなる。また,CPのみでスループットが十分ではない場合には,大電流をとるためにマルチの電子ビームを提案した。加えて,従来は300mmウェーハの端から端まで描画していたが,領域を限定することによって,スループットをさらに向上できるとした。

パーティクルアタック問題に対処
「次世代枚葉式イオン注入装置」
SEN-SHI・アクセリスカンパニー 布施玄秀氏

 SEN-SHI・アクセリスカンパニー 布施玄秀氏
SEN-SHI・アクセリスカンパニー
布施玄秀氏

現在,イオン注入装置には質と量の両立が要求され,メモリ系では生産性が中心(量),ロジック系は高精度が中心(質)に求められている。そこで,高電流イオン注入装置が枚葉化へ移行しなければならない理由として,微細化によりゲート脆弱化とそのドミノ倒し現象が発生する「パーティクルアタック問題」や,パッドアングル起因の面内角度偏差から来るMOSエクステンション非対称問題などを挙げた。

パーティクルアタック問題に関しては,バッチ式では13枚程度の300mmウェーハが1215rpmで回転するため,何かの拍子にパーティクルがアタックした場合,破片がウェーハを傷つけて1バッチすべての歩留りを落としてしまうこととなるが,枚葉式ならば1チップの損失で済む。これが枚葉式に移行する最も強い理由とした。ただ,中には215rpm,415rpmなどの低速回転化によりパターン倒れを低減し,バッチ式高電流装置の延命を図っている装置メーカーもいるとした。

次世代の生産工場に向けた取り組み
「次世代の枚葉式スパッタリング装置」
アルバック 檀上康徳氏

 アルバック 檀上康徳氏
アルバック 檀上康徳氏

枚葉式スパッタリング装置に求められているのは,生産性の向上であり,いかにランニングコストを下げ,稼働率を上げることができるかが重要である。 現在,生産性向上のためにEES(Equipment Engineering System)技術が装置に搭載されるようになってきている。アルバックでは,EESの対応を図るべく装置から得られる情報をサーバの中に入れ,サーバの中でコントロールするEDPMS(Equipment Diagnostics Preventative Maintenance Sever)を開発した。従来のデータサーバはパワーやガス圧,温度などのアナログデータがメインであった。しかし,プロセスが微細化し,枚葉化技術が進んでいくと,膨大なデータの処理が必要になってくる。そのため,従来のエンドユーザーによる入力処理では対応できない。

同社では装置の中で得られるデータは装置の中で管理するという考えのもとで,従来のソフトウェアのイベント情報なども含めてサーバの中で管理するツールとして同技術を開発した。半導体工場に装置を導入し,立ち上げた段階からデータを取得していくことでデータが蓄積され,装置の品質を管理することができるようになる。これにより必要のない工程を省くことでき,生産性の向上を図ることが可能となるとした。

次世代ゲート成膜技術
「次世代枚葉成膜装置」
東京エレクトロン 大久保豪氏

 東京エレクトロン 大久保豪氏
東京エレクトロン 大久保豪氏

トランジスタの微細化によりゲートリーク電流の増加,消費電力の増大を問題として挙げ,ゲート絶縁膜のSiON/high-kの採用によりリーク抑制ができることを述べた。東京エレクトロンの枚葉プラズマ酸化・窒化装置「Trias SPA(Slot Plane Antenna)」は,SiON膜を窒化することによりゲートリークの低減を目的とした装置である。RLSA(Radial Line Slot Antenna)プラズマを用い,高密度かつ低電子温度のプラズマを発生させ,400℃以下の低温でダメージの少ないプラズマ処理を行うことが可能で,高スループット,高い面内・面間均一性を実現している。同装置によるゲート窒化プロセスにより,EOIの薄膜化,ゲートリーク電流の低減,Bの侵食防止効果を実現することができる。

また,将来のゲート工程技術はSiON薄膜化の限界からhigh-kの導入やメタル電極の導入へシフトしていくと考えられ,同社でも開発中の次世代ゲート工程技術である,high-kゲートスタック用クラスタ装置を開発しているとした。

次世代枚葉管理システム実現のために
「次世代の枚葉管理システム」
ユニスリー・システム 中澤聖一氏

 ユニスリー・システム 中澤聖一氏
ユニスリー・システム 中澤聖一氏

新たなシステムの課題と対応策として,枚葉管理の実現性について,SoC製造の視点から必須な技術・概念であるため実現せざるを得ない技術であり,段階的に実現していく必要があるとした。また,システム導入の投資については,ハードウェア面の改善よりもソフトウェア面の改善から始めることで,大きな投資は必要ないものと考えられるとした。

一方,投資利益率を考慮した投資判断は,総合設備効率やコストを考慮した生産シミュレーションを活用しながら検討するとともに,従来のシステムを活用することにより,資源の再利用によるコスト削減も考慮すべきである。また,新コンセプトの工場の稼働は,現在の工場の一部を活用して実証した上で展開していくことになるので,平行稼働が可能なコンセプト作りが重要となる。さらに,コストついては,枚葉化による生産性向上効果を十分に検証する必要があり,競争原理を導入することで,コンポーネント化やIT標準技術の活用,専門社会の興隆などによりコスト削減が図れる。なお,新システム導入は運用コスト削減が主要目的であるので,初期コストよりも重要になる点に考慮しなければならないとした。


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