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ポストArFリソグラフィ技術の展望
−最新の開発状況から半導体製造を検証 −

07年12月19日に東京・神保町の学士会館において行われた,プレスジャーナル主催「第77回VLSI FORUM ポストリソグラフィ技術の展望」についてレポートする。

ArF液浸リソグラフィは何処まで延命できるか
エーエスエムエル・ジャパン 森崎健史氏

エーエスエムエル・ジャパンの森崎健史氏は,今後もロジック,メモリそれぞれで,デバイスのシュリンクは続いていくと考えている。リソグラフィとしては45nmプロセスまではArF液浸を使ったソリューションプロセスがなされるとみている。32nmプロセス以降はいまだ混沌としており,実現の可能性があるのは,従来のArF液浸装置と同じ解像度を用いたダブルパターニングでさらなる解像度を得るもの。それより実現度は低いが,高屈折率溶剤を使って従来の水を使った液浸よりもさらにNAを上げていくという方法。また,波長を一気に短くしたEUVが考えられると述べた。さらに,タイミングにもよるが22nm以降ではEUVが主流になっていくとの考えを付け加えた。
同氏は,これらの考えに基づく同社のロードマップも発表した。ここで注目されるのは,やはりArF液浸とEUVであるという。ArFについては,07年半ばにNA1.35の装置を発表。08年末にNAは同じ1.35でオーバーレイの値を上げるとともにスループットを改善し,ダブルパターニングをターゲットとした製品を発表の予定。一方,高屈折率溶剤を使ったものでは,NA1.5以上のものを想定しているが,レンズのマテリアル開発に時間がかかり,早くても11年頃の製品化の考えを示した。しかし,NA1.5〜1.55程度のものをこのタイミングで発表して果たしてマーケットに受け入れられるかは疑問があるとも述べている。同社では,08年第1四半期の終わりには,レンズマテリアルの開発状況とマーケットの動向を精査して,このプロジェクトの進退判断を下す予定であるという。
EUVに関しては06年の半ばにADTの装置を2台製作。フルフィールドの装置であるが,量産には対応しておらず,開発・評価用との位置付けであるという。量産用の装置については09年の終わりにプリプロダクションツールを出す予定で,これはNA0.25のEUV装置であるが,NA以外のスペックも量産に対応するもので,特にスループットの向上を目指している。今の見込みでは,60枚/hを予定していると述べた。

ArF液浸リソグラフィは何処まで延命できるか
ニコン 精機カンパニー 今井基勝氏

ニコン 精機カンパニーの今井基勝氏は,液浸については三つの基本的なテクノロジーがあると指摘した。第1にノズル,第2にステージ技術,第3に投影レンズだ。同社はこの三つのキーテクノロジーを段階的に開発している。
同社の液浸は水を常に流すことを重視しているためノズルが重要であり,ウェーハ側の揮発性,ノズル側の親水性を利用してノズル構成を行っている。エアシャワーは水の中にバブルが入り込んだり,被膜が飛び散るため使用しないとした。
同社では,液浸用に新たなステージ技術を開発した。ステージ自身はフォルダだけ,センサがないシンプルな構造になっている。センサがないため,センサ用のチューブやケーブルがなくオーバーレイに強い。検査はウェーハの露光が終了し,交換する際にセンサが搭載されているキャリブレーションステージをステージに寄り添うように移動させ,交換中にチェックを行う。ウェーハ交換中にキャリブレーションを行うのでスループットインパクトがなく水を流し続けられる。
3番目の投影レンズは反射屈折系レンズ,Multi-axisを使用している。同レンズは,フレアーを考え,ミラーの数を少なくしている。また,反射屈折系のレンズではどうしてもオフセットが生じるが,オフセットが少なければ熱は均一性が高くなるため,オフセットが小さい同レンズ形式を選んでいる。この他,技術的な熱対処としてはIACというレンズの熱コントロールがある。同技術は,レンズの熱的な偏りが発生した際,光ファイバにより熱を受けていないところを暖め,レンズの熱均一性を保つ。同技術と従来のLCを導入することにより,フォーカスのズレをほとんど抑えることが可能になる。
同氏は,次世代露光装置については三つの候補が存在しているものの32nmはダブルパターニングと指摘。ArF液浸の延命という観点に立てば,45nm〜32nmで1世代の延命は果たしている。一方,22nm以降はEUVLが望まれているものの,光源やマスク,レジストなどの問題が残っている。むしろ,ArF液浸でのコンタクトウォードの発展,デバイス側の秀逸なデザインの登場によっては22nmの可能性もゼロではないとみている。また,高屈折液浸については材料開発が難航しており,まだ先との見通しを示した。

ArF液浸リソグラフィは何処まで延命できるか
キヤノン 鈴木章義氏

キヤノンの鈴木章義氏は,ArFシングル露光装置としては,既存の装置でエンジニアリング的には限界を迎えたとの考えを示した。
同氏は,解像力のさらなる向上は材料の開発次第であると述べた。HIF-G2(第2世代の高屈折率液体)の液浸材料で最終レンズ素材にLuAGを用いることができた場合でNAは1.55(34nm),HIF-G3の液浸材料でNA1.65(32nm)くらいまでは達成できるのではないかと考えているという。LuAGの開発については,LuAGは屈折率が2.14と高いが透過率改善,IBR補正,dn/dTが大きいことによる温度制御,硬い結晶の研磨加工などの課題が残る。特に透過率については98.9%/cmという要求に対して,現状は77.6%/cmと,その差は大きい。現在これらに対して研究開発を進めているが,この結果次第で今後の方針が決まるとした。
同氏は,32nmプロセスの第一候補で08〜10年の実用解としてはダブルパターニングしかないとも述べた。ただし,適用する素子によって微細化の度合いが異なる。ダブルパターニングの利点はk1で0.25以下のパターニングが可能であること。また,自己整合型であれば露光装置性能負荷が他の方式に比べて小さい点がある。残る課題としては,まず適用パターンの制約があるという。NAND型フラッシュなら良いが,ロジックなどについては色々問題がある。次にコストアップがあり,それに見合うだけの素子があるかと言う問題。また,露光システムとしての完成度があり,露光装置だけで自己完結せず,CAD,マスク精度などにも問題があり,業界全体で対応していく必要がある。それにはメーカー間の協力も必要であり,それなくしてはダブルパターニングの完成はないとの考えを述べた。
また,同社ではEUV露光装置(SFET)を開発中であるとした。解像制度は26nmまで実現しており,基本的解像性能は実証済みといえる。しかしエンジニアリング的には,光源やレジスト,またコストが大きな問題としてあり,同社のEUV開発ロードマップとしては,10年をターゲットとしているとのこと。

実用化に向かうEUVリソグラフィ
極端紫外線露光システム技術開発機構(EUVA) 阿部直道氏

極端紫外線露光システム技術開発機構(EUVA)の阿部直道氏は,EUVの最大の課題である光源ついては, LPP方式とDPP方式という二つの方式があるとした。LPPは上からSnドロップレットを落とし,そこにレーザ光を当て,EUV光を発生させる。DPPはSnを含むガスを注入し,電極管に電圧をかけ,放電させることにより,EUV光を発生させる。両者とも中間集光点で115W以上が必要とされるが,EUV自身が超短波であるため,出力を得ることが難しい。また,Snプラズマを利用する場合,Sn粒子がミラーに付着するデブリも課題となる。
現在DPPは,回転電極型DPP方式に移行しつつある。DPPは出力を上げるとプラズマのために電極が解ける危険性があるが,電極を回転させることにより,プラズマの熱負荷を分散させて受けることが可能になる。また,EUVAでは独自にLPP技術を導入したSnドロップレット方式回転電極(Laser Assisted DPP)を考えている。これはSnドロップレットを垂らし,そこにレーザを照射することにより,ガス化,回転電極により放電する仕組みだ。この方式だと,ガス供給と放電の最適条件が独立して制御可能だというメリットがある。現在,発光点で最高790W(集光点で80Wの見込み)を作り出すことが可能な原理検証ができている。
一方,課題のデブリについても対策を検討している。デブリはSnがミラーに付くことが問題なのだが,フォイルトラップにガスフローを流すと,堆積が減少する。また,付着したデブリをはがす技術も実験している。ハロゲンガスを流し込むことによって,Snを取るサイクルを実験したものでは,約50回の汚染除去サイクルで97%の反射率を維持している。また,磁場によるイオン防御も検討している。発光点部分でミラーに並行に同じ磁場を印加するものだ。荷電粒子は磁力線に沿って回転運動をするため,ミラーの方に行かなくなる。
同氏によると,光源技術がEUVLの大きな課題であり,実使用可能な光源は,学会発表での62Wなどがあるものの,あくまで計算値である。また,EUVLに必要な高精度のミラーについては,0.1nm rmsレベルの加工技術の構築は可能であり,計測装置も必要性を満たしており,実使用レベルを達成しつつあるとしている。

少量多品種におけるマスクレスリソグラフィの可能性
アドバンテスト 枝本俊雄氏

アドバンテストの枝本俊雄氏は,微細化に伴うコストの増大によるデザイン着工数の低下を指摘した。02年の180nmプロセスによるデザインコストを100とすると,05年の90nmプロセスでは1000,07年の65nmプロセスでは2000と増加しているという。また,もう一方の問題として,マスクのコストが高くなっている点を挙げた。マスクのコストについても,130nmノードのレチクルで,06年の値を100とすると,同じ年代の65nmでは625,違う年代ではあるが45nmでは1075と,約10倍にも増えている。これに伴いセットメーカーでは,ASICのデザイン着工数がだんだん減っており,一方FPGAは伸びている。セットメーカーとしては先端のデバイスで作りたいと思っているがコストがかかりすぎるのでFPGAにいかざるを得ない。FPGAでASICと同じ性能のものを作ろうとすると,チップ面積がASICの約4倍,消費電力で約10倍となる。
ここでどういった解決策があるかというと,マスクレスではないかとの考えを示した。EB直描方式であれば,設計(デザイン)データからウェーハに直接描画できる。少量であれば,TATも短く,コストも安く実現できる。しかし,EBの問題点としては,やはりスループットが大きな課題であるという。コストを考える上で生産数を含めて見ると,まだEBの適用範囲は狭く,それはスループットが一番の問題となっている。この解決策としては,従来のCharacter Projection(CP=部分一括露光)のColumnを4本搭載したMulti Column Cell with CP(MCC-CP)を市場に投入するべく開発が進められている。また,ショット数削減の取り組みとして,設計環境の整備を含めた改善が図られている。このMCCの開発とショット数削減の取り組みにより,EB露光機のスループット向上が達成される見込みとなっており,EB露光機による少量多品種への適用拡大が期待されると述べた。

ナノインプリントはEUVの代わりになれるのか
リソテックジャパン 関口淳氏

リソテックジャパンの関口淳氏によると,ITRSロードマップにおいて,22nm〜16nmでインプリントを候補の一つとしている。
インプリント技術には2種類の方法がある。一つ目が熱インプリント,二つ目が光インプリントである。熱インプリントは,基板の上に樹脂をスピン法などを利用して塗布し,そこに金型を押し付ける。この時に,基板の温度を上げると樹脂が柔らかくなる。押し付けながら温度を低くすると樹脂が固まり,型を外すと,樹脂の方にパターンが形成される。光インプリントは同じように基板の上に光硬化性の液体樹脂を塗布,モールドを押し当てる。モールドは光を透過するガラス製が多く,モールド越しに光を照射することで硬化させる。型を外すと,下にパターンが形成されている。
インプリントの利点は,解像度が高く,低コストだという点だ。Princeton大学のChou教授の実験では,パターンスリット5nmの微細なパターンを成功させている。また,リソテック ジャパンでは,小型実験装置によってインプリントの実験を行っているが,小さな実験装置でも50nmのパターンが製作できる。しかし,光リソグラフィで50nmパターン用の装置を用意すると数億円かかる。この点から,インプリント技術は低コストであると言える。
但し,ナノインプリントには大きな課題が二つある。第1にモールドとレジストが直接触れるため,離型時に樹脂が基板から離れる破損の可能性があることだ。このため,樹脂にはモールドからの離れ易すさと,パターンを形成する基板からの離れにくさという相反する性質が求められる。もう一つの問題は等倍であること。モールドと実際に作るパターン側が1対1であることから,モールド側に作ろうとするパターンと同じ精度のものが必要とされることが課題になる。
同氏によると,16年より22nmノードへの適用が検討されており,ナノインプリント技術は,モールドさえできれば,限界は5nmであるとしている。但し,モールドとレジストの直接接触の問題に加え,nmレベルの精度できっちり密着させなくてはならないことも課題として残っていると指摘した。


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