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08秋季特別シンポジウム
太陽電池製造技術の最新動向に迫る

08年9月25日,東京・神保町の学士会館において,プレスジャーナル主催「08秋季特別シンポジウム−徹底検証:太陽電池製造技術の最新動向−」が開催された。同シンポジウムでは,セル・モジュールメーカー,製造装置・部材メーカーを中心とした8名の講師により,注目の太陽電池に関して,製造技術の最新動向が語られた。本稿では,同シンポジウムにおける講演概要をレポートする。

高効率多結晶太陽電池の最新動向
三菱電機 太陽光発電システム部 有本智氏
有本智氏
▲有本智氏

多結晶Si太陽電池固有の課題として,(1)結晶粒の面方位が不均一,(2)結晶品質のバラつき,(3)粒界や転移などの結晶欠陥の存在を挙げ,これらの解決が変換効率改善のポイントであるとした。また,多結晶Si太陽電池製造の必須技術である水素パッシベーションによる特性改善として,(1)製膜温度依存性,(2)電極形成条件による違い,(3)電極焼成条件の最適化,(4)高速焼成によるライフタイムの改善について,研究・検証結果とともに言及。さらに,結晶品質に関する課題,反射率の低減方法,電極の細線化,薄肉基板への対応などについて述べ,技術的な限界が近いと言われることもある結晶Si太陽電池であるが,従来技術にまだ改良の余地が多く残されているとした。

太陽電池の開発動向とビジネス展望
ショット日本 ソーラー事業部 酒井茂氏
酒井茂氏
▲酒井茂氏

SCHOTTが手掛ける結晶系太陽電池および薄膜系太陽電池について,設置・採用例とともにグローバルな製造・販売体制を紹介した。また,同社の集光型太陽熱事業についても紹介。集光型太陽熱発電(CPS)は,鏡などで太陽光を集光し,その熱で水を蒸発させることにより蒸気タービンを回転させ発電するというもの。同社では,主要なコンポーネントである高出力レシーバを提供している。この他,WACKER SCHOTT Solarのウェーハ技術として,EFG(Edge-difined film-fed growth)製法について述べた。EFG製法では,8角形のフィルム状で炉から直接Siを引き出し,1枚ずつレーザーカットすることで,エネルギーと材料の効率化が図れる。

薄膜太陽電池の製造技術
アプライド マテリアルズ ジャパン ソーラー事業部 佐藤辰哉氏
佐藤辰哉氏
▲佐藤辰哉氏

薄膜太陽電池の大型化を実現するApplied SunFabについて講演した。SunFabでは,液晶パネルの8.5世代に相当する2.6m×2.2mサイズのガラス基板を使用し,5.7m2の大型薄膜太陽電池の製造を可能としている。また,薄膜太陽電池の製造に必要な設備を,成膜装置(CVD,PVD)などを含む一環製造ラインとして提供することで,ユーザーは基板を投入するだけで,太陽電池を製造できるとしている。最終製品は1/4サイズにカットして出荷することができ,この四つ切の大きさは,いわゆる第5世代の基板サイズとなり,従来比で4倍の生産性を有することとなる。講演では,SunFabでの太陽電池製造を映像でも紹介した。

太陽電池製造装置の動向
エス・イー・エス 太陽電池事業部 川田靖氏
川田靖氏
▲川田靖氏

エス・イー・エスでは,製造装置の開発に当たり,単結晶/多結晶のSiウェーハを購入し,プロセス技術の研究,検証などを行っている。講演では,単結晶ウェーハのテクスチャリングにおけるPre-Clean問題,単結晶ウェーハのエッチング深さと少数キャリアライフタイムなどについて述べた。また,キャリアタイムの観察により,表面観察や反射率では表現できない,スライス工程のエッチングへの影響が観察できるとした。同社で取り扱う太陽電池製造装置では,テクスチャリング装置,P塗布,拡散炉,PSG除去装置,ISO/PSG装置などを紹介。さらに,PECVD装置についても,研究・開発中であるとした。

太陽電池製造用検査装置の動向
日清紡 精密機器事業本部 下斗米光博氏
下斗米光博氏
▲下斗米光博氏

太陽電池モジュール製造における検査工程には,セルEL検査,レイアップ後EL検査,絶縁試験,出力測定,最終EL検査などがあり,中でも特に重要なのがモジュールをラミネートする前に行うレイアップ後EL検査であると下斗米氏は指摘する。ラミネート前であれば,欠陥が見つかったときに手直しが可能で,歩留りの向上につながるためである。
ソーラーシミュレータでの出力測定では,各種太陽電池の特性を認知した上で試験を行うことが必要である。太陽電池はその種類によって,光平行度,応答性,スペクトル依存性,光劣化,光照射効果などの特性が大きく異なるためである。

薄膜太陽電池用エリプソ式分光膜厚計
大日本スクリーン製造 計測機器ビジネス部 杉本克雄氏
杉本克雄氏
▲杉本克雄氏

大日本スクリーン製造の薄膜太陽電池用エリプソ式分光膜厚計「RE-8000」について講演した。同製品は,J.A.Woollam製のエリプソヘッドを採用しており,複雑な膜の膜厚・物性(屈折率・吸収係数)のモニタ,大型基板の全面測定・解析,複数の入射角度(45°,60°,75°)での測定,CCD受光による高速計測,ワイドな測定波長レンジ(370〜1700nm),リニアモータ利用による高速・高精度のX/Yステージ,基板整列機構(リフターから昇降ピンにより受け取り)などの特徴を有している。
太陽電池構造の解析では,透明導電膜層(TCO)が持つテクスチャ構造の解析がポイントとなるという。テクスチャ構造によって測定光の乱反射が起こるため,擬似構造として解析する必要があり,この部分のモデル化が重要なノウハウとなっている。

太陽電池製造用レーザ技術
スペクトラ・フィジックス 大阪支社長 大野剛氏
大野剛氏
▲大野剛氏

スペクトラ・フィジックスは産業用レーザで多岐にわたる製品展開を行っている。a-Si太陽電池製造プロセスでは,P1スクライブに用いられる1064nmの基本波Qスイッチレーザ,P2およびP3スクライブに用いられるQスイッチ532nmレーザなどが一般的である。
同社が最近注力している製品に,手のひらサイズのコンパクトDPSSレーザ「Explorer」がある。薄膜太陽電池基板の大型化に伴い,1台のレーザからの光の分岐が難しくなるため,今後は同製品のような小型のレーザを多数個同時使用するプロセスが採用されるようになるとする。また,同社では,高出力UVレーザとして,ナノ秒QスイッチUVレーザ「Pulseo」とモードロックピコ秒UVレーザ「Pantera」を展開。Pulseoは,多結晶Siの穴あけなど高いパルスを必要とする加工に適した高エネルギーUVレーザ,Panteraは薄膜,ITOなどの高速スクライブに適したピコ秒での高繰り返しUVレーザである。

色素増感太陽電池の現状と展望
桐蔭横浜大学大学院工学研究科 池上和志氏
池上和志氏
▲池上和志氏

桐蔭横浜大学では,プラスチック基板を使った色素増感太陽電池のベンチャー企業「ぺクセル・テクノロジーズ」を04年に設立。実用化に向けた研究開発を行っている。色素増感太陽電池は,軽量かつフレキシブルで,スクリーン印刷法により簡単な設備で製造できることが特徴。変換効率は現時点では2%程度となっており,Si系太陽電池と比べると低いが,太陽電池の実用化には高い変換効率や低コスト化といった視点だけではなく,「用途」「価格」「耐久性」のバランスを取ることが重要であるとする。
色素増感太陽電池の技術的課題としては,電解液との化学反応によるITO劣化をどのように防ぐかという問題がある。ITO劣化に関わる添加物としてはLiIがあり,LiIを使わない電解液の調製が検討されている。