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セミナー報告

生産性向上・歩留り改善の最前線
−直面する課題と競争力強化に必要な要素技術−

08年4月9日,学士会館においてプレスジャーナル主催の第78回VLSI FORUM「生産性向上・歩留り改善の最前線」が開催された。同FORUMでは,東京農工大学名誉教授・垂井康夫氏の座長挨拶に続き,6人の講師によって,半導体製造業界が直面する課題と競争力強化に必要な要素技術が徹底検証された。本稿では各講演の概要をレポートする。

半導体生産の将来像。進むべき方向性
−ミニマルシステムの導入が半導体製造をこう変える−
産業技術総合研究所 原史朗氏

原氏は,半導体製造業の成長曲線の伸びが,96年頃を堺に鈍化しはじめ,それ以前の指数関数的な成長を終えて成熟期が飽和状態に移行したことを指摘した。市場は全体として頭打ちであり,量産効果は次第に低下していくため,これからの半導体製造では,変種変量化・仕掛かり極小化・投資の極小化が基本的な課題になるとした。
そして,この課題を解決するための革新的概念として,同氏が提示するのが,変種変量生産に向いた「ミニマル・マニュファクチャリング」モデルである。同氏は,ミニマルな要素技術を組み合わせて生産プロセスをコンパクト化することによって,無駄の多い現行の大規模生産システムをスケールダウンすることを提唱。例えば,10m2の工場,30cm2の製造装置といった「ルームサイズファブ」を実現し,ウェーハサイズも12.5mm(1/2インチ)として1枚のウェーハから1チップしか取れないようにすれば,後工程そのものが必要なくなるため,歩留りの飛躍的改善ができるとの構想を提示した。

ダブル・パターニングに向けたメトロロジー
ケーエルエー・テンコール 加藤敦彦氏

加藤氏は,32nmハーフピッチのフラッシュメモリ生産が来年にも始まろうとしている状況において,パターニング手段としては,EUVと高屈折率液浸は開発期間が間に合わず,二重露光も現行レジストでは困難であるとし,残る選択肢はダブル・パターニングしかないと指摘した。32nm以降のダブル・パターニングの技術課題として,CDとオーバレイの管理がこれまで以上に厳しくなることを挙げ,これに対応するための同社の計測技術について解説した。
同社では,32nm以降の計測ニーズを満たすべく光CD計測(OCD)の開発を進めている。現在のOCDの計測能力については,22nm世代まで適用可能な精度を出ことが可能であるという。しかし,側壁角の計測精度はまだ改善が必要である。
また,オーバレイ計測について検討したところ,次のような結果を得た。(1)オーバレイの制御は,非線形補正への移行により,残差の3σを大幅に低減できる,(2)10×10μm2μAIM計測マークは,製品ウェーハ上で高次のディストレーション補正を可能にする,(3)露光機と計測器のリンクによるMix&Match補正で露光機の稼働率と歩留り向上が達成可能,(4)高次補正はグリッド成分だけでなくディストレーション補正と組み合わせると,より高い費用対効果が得られる。

不可欠となったウェーハエッジ検査,生産ラインでの本格導入も迫る
レイテックス 野原直行氏

レイテックスのカメラ計測では,エッジにレーザを真正面,真上,真下の3方向から当てて散乱光強度のデータを取得し,HighPassフィルタ,LowPassフィルタの波形処理を行うことで,それぞれの特徴あるデータとして出力する。HighPassフィルタでの出力データは,一定の数値を超えたものを欠陥候補と認識して,その個数を表示する。LowPassフィルタをかけられたデータは粗さを表す指標として用いられる。Defectのダウンと欠陥候補数のプロセスの前後での増減数と比較することにより,どの程度きれいになったかをレーザデータの出力数値から表すことができる。
カメラ画像計測については,ウェーハに対して真正面,真上,真下,上斜め45°,下斜め45°の角度で設置された合計6台のカメラでエッジをフォローしている。ノッチカメラはエッジの端面から膜界面の距離が全周にわたってどの位均一になっているのか,あるいは欠陥がないのかを計測し,全周分のデータをプロットすることで,プロセス中の特徴を測ることができる。
また,同社はカメラ画像でウェーハ断面の計測を可能としている。現在のところ,断面SEM測定と比較して,5μmの精度で測ることができている。

WYDIWYG(What You Design Is You Get)実現のために
日本ケイデンス・デザイン・システムズ社 横山和男氏

Manufacturingでは,シミュレーションに基づいて,検証,修正したレイアウトに対していかに再現するかが重要となってくる。ケイデンスでは,ホットスポットと呼ばれるプロセス的に弱い部分を見つけ,修正あるいは最適化を行う。また,そういった症状が製造の部分で発生しないようにレイアウトの部分で防止する。
設計者の出したデザインレイアウトがマスクレイアウトになるには,複数のプロセスを経る必要があり,時間を要する。同社のツールは,複雑で長いプロセスを一つのモデルに集約したものを提供している。設計者からすれば,自分で作ったレイアウトのデータから直接Siにシミュレーション,ウェーハ上に露光したレジスト像がどのようになるかを検出してくれる。
一方,CMPではウェーハレベルで見ると,様々な凹凸が生じ,膜厚のバラつきは10〜40%にもなる。こうした事象は単純に物理的な欠陥につながると同時に,電気的な特徴にも影響を与えてくる。日本における65nmでは,パターン内に余裕があるため,問題として顕在化されていないが,45nmとなると問題化する恐れがある。同社のCMP Predictorは,ホットスポットの検出の他,膜厚を正確にすることで電気的な特徴のチェックをすることが可能となる。
設計と製造の間には,大きな谷間が存在している。同社のツールは設計と製造を橋渡しするツールである。あくまで製造の条件をモデリング化してシミュレーション精度を向上させることにより,設計者が製造のことを知らなくとも,製造に適応したレイアウトが可能となるからである。

半導体製造における生産性向上・歩留り改善を強力に支援
横河ソリューションズ 中川隆氏

中川氏は,まず,半導体業界をめぐる状況とシステムに対する要求について述べた。それによると,現在の半導体業界には,マーケットからの要求(ニーズ)と半導体プロセスの進化からの要求(シーズ)があるとした。これらを踏まえた上で,生産効率向上としては,小ロットサイズの効率的生産,高度なコスト管理,歩留り改善としては,よりプロアクティブな歩留り低下要因検知と防止策の策定・実行につなげる仕組みづくり,工程品質と歩留りのモデル化とシミュレーションがポイントになるとした。さらに,必要とされるシステム要素技術としては,モデリング技術とシミュレーション技術,並列化と仮想化,モノシリックなシステムの密結合から分散型システムの有機的結合へ,スケールアップからスケールダウンへの転換を挙げた。
同氏は,生産性向上ソリューションとして,同社の半導体生産管理用MESパッケージ「CIMVision-semi」と,リアルタイム製造原単位コスト管理システム「Profitclue」を紹介した。CIMVision-semiは,試作・量産混在と小ロットへの対応が可能な工程進捗管理を中心としたシステム。Profitclueは,生産に密着したリアルタイムコスト管理で生産性の向上を支援する。
また,歩留り改善ソリューションとしては,Baselineの改善に向けて,現状を把握し詳細解析対象の「当たり」をつける「CIMVisionDS」と,ランダマイズによる歩留り低下要因の早期発見を可能にする「Wafer Sleuth」を紹介した他,Excursionの撲滅に向けては,装置定数モニタリングを提案した。

Charteredが考える高効率ファブ・歩留り改善に向けた取り組み
チャータード・セミコンダクター・ジャパン 志澤弘氏

志澤氏は,まず,製品の開発サイクルにおいて各デバイスメーカーおよびファンドリとの連携と,開発に関わるトータルコストの高騰について述べ,ファンドリに求められる役割についても,より高度になっていると語った。
同社は,02年の90nm世代からIBMとJDA(Joint Development Alliance)を開始。その後,04年の60nmからはSamsung electronics,さらにInfineon Tecnologies,Freescale Semiconductorとメンバーが増え,現在では,STMicroelectronics,東芝も参加している。特に,CharteredとIBM,Samsungの3社では,Common Platformの共同開発を進めている。同氏は,Common Platformによるメリットの一つとして,最先端技術に対する研究開発費の低減を挙げた。
シンガポールにある同社初の300mm対応Fab7では,IBMおよびAMDとの強力なパートナーシップの下,月産3万枚の生産能力(最終的には4万5000枚)を持ち,08年からは,45nmプロセスでの生産を開始する。同Fabでは,システムの自動化を進んでおり,人が介在することによるトラブルを抑制している。同Fabでは,エンジニアとオペレーターの人員比が,7対2(その他1)で圧倒的にエンジニアが多いのも特徴となっている。また,SPCやFDC,APC,PDF CV,YMS,Wafer Sleuth Systemといったソリューションを活用したリアルタイムで統合的な歩留り管理を実現している。
Common PlatformにおけるDFM(design for manufacturability:製造性考慮設計)の取り組みとしても,IBM,Samsungをはじめ各プロセスでのパートナーと協力して進めているとした。


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