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| FX-803M | FX-903N | |
| 解像度(L/S) | 3.0μm | 1.5μm |
| 露光範囲 | 132mm×132mm | 132mm×132mm |
| 露光波長 | g+h線 | i線(365nm) |
| 投影倍率 | 1.25倍 | 1.25倍 |
| アライメント精度 | 0.38μm(3σ)以下 | 0.30μm(3σ)以下 |
| 最大基板サイズ | 730mm×920mm | 730mm×920mm |
| レチクルサイズ | 6インチ(0.25インチ厚) | 6インチ(0.25インチ厚) |
| タクトタイム (30ショット) |
61秒(40mJ/cm2) | 61秒(50mJ/cm2) |
2. 配線材料
TFT-LCDの大画面化,高精細化に伴って配線材料も高融点金属からアルミ(Al:比抵抗2.7μΩcm)あるいはAl合金へと変遷してきた。さらに導電率の大きい材料としてCu(比抵抗1.72μΩcm)あるいは銀(Ag:比抵抗2.2μΩcm)があるが,耐食性,密着性,耐酸素プラズマ性などプロセス上の課題が多い。
デプトが開発したCu合金「HPC(High Performance Cu-Alloy)」は「錆びない銅」であり,Cuの良性を残しつつ課題を解決した材料である。HPCの比抵抗は2.5〜6.0μΩcm。AgやCuのように保護層や密着層(バリヤ層)が不要で,単層で用いてもガラス基板,SiO2,ITOと高密着性が得られる。O2プラズマアッシング耐性,UV照射/O3耐性,750℃大気中アニール耐性など,高耐食性を有す。エッチングはウェットプロセスの適用が可能で,クロム(Cr)系(硝酸セリウム系),Al系(燐酸―硝酸―酢酸系)で加工できる。エッチングレートは室温,ディップ式で4〜8nm/sec。ITOとの電蝕反応もないため,直接コンタクトを取ることができる。タングステン(W)もしくはモリブデン(Mo)を2%添加したCu合金をSi基板に作製し,HPCが530℃以下でSi層への拡散がないこと(Grainの成長がストッパ効果で抑制される)および酸化雰囲気での耐性が優れている(添加材料が表面層に極薄のバリヤ層を形成し酸化の内部進行を抑制する)ことなど,種々の分析結果が報告されている2)。
東北大学の小池淳一教授は,TFT-LCD向けに低抵抗のCu-Mn合金を使う技術を開発した3)。現在のTFT-LCDで使われているAl系の配線に比べて抵抗が半分になる。同合金をTFTアレイのゲートバスの配線に用いることで,大型TFT-LCDでもドライバICの片側からの駆動が可能になる。同合金は,Cuに対してMnを0.8%加えたものである。同合金をガラス基板にスパッタで成膜し,エッチングで配線パターンを形成した後,150〜350℃で数分程度熱処理すると,Mnがガラス表面の酸素と反応して厚さ数nmの安定した酸化反応層が形成される。この反応層によって,ガラスとの密着性が大幅に向上する。また,配線表面にも拡散して雰囲気中のO2と反応し,耐酸化皮膜を形成する。この過程でMnがガラスとの界面や表面に拡散するため,中央の配線部分は純Cuに近づく。このため,配線抵抗は3μΩcm以下と小さい。現行のAl系配線は5〜6μΩcm程度の比抵抗だが,同配線材料は純Cu並みの約2μΩcmまで比抵抗低減も可能とする。
同合金は,現在の配線材料の約1/2の比抵抗であるため,配線幅または厚さを1/2にでき,開口率が向上する。従って,高精細化に対してバックライトの光利用効率を上げ,高輝度化もしくは省エネルギー化が可能になる。また,現在約200nmあるAl系配線の厚さを100〜150nmにできるため,プロセス時間の削減による低コスト化が可能となる。加えて,配線の表面に形成される耐酸化皮膜は,通常のゲート絶縁膜形成に必要な酸化防止膜の効果を持つため,プロセスを省略できる。材料価格はAlよりは高くなるが,プロセスをトータルで考えると十分コストメリットが出そうである。
07年7月11日から13日まで淡路島の夢舞台で開催されたAM駆動FPDのシンポジウムで「Why Flexible」と題してTFT技術とディスプレイデバイス技術が8件発表された。ここでは,a-Si TFTの製造に関連する2件の論文を紹介する。また,フレキシブル基板材料として検討されているフィルム(代表例としてDuPont Teijin FilmのPEN)とSUS箔の特性とガラスを比較して表2に示す4)。
PENとSUS基板の大きな差異は,比重が4倍以上(SUS:800gm/m2 100μm厚),最高プロセス温度が3倍以上(>600℃),熱伝導度が160倍以上(16W/m℃)という点である。従って,基板材料の軽さを重視した応用を考えるとPEN基板となるが,この場合はプロセス温度の低温化を実現する必要がある。一方,SUS基板の比重は大きいもののプロセス温度はガラス基板と同様でも問題ない。しかも,金属であることから熱伝導性が良好なため,AMOLEDのバックプレーンとして適する。というのも,自発光デバイスであるOLEDは,LCDと異なり基板材料の透明性は問わないからである。むしろ,デバイスの発熱対策からすると,放熱特性の良好な金属基板が好ましい。
表2中のCTE(ppm/℃)は,熱膨張係数を示す。ガラス,PEN,SUSの値は各々5,16,10である。基板とTFTの構成材料のCTEを合わせないとプロセス中にパターンのズレが生じる。ちなみに,TFT構成材料のCTEは,SiNx:1.5,Si:3.4,Cr:6.5,Mo:5,Al:24ppm/℃である。
| ガラス | PEN | SUS | |
| 比重(gm/m2 100μm厚) | 220 | 120 | 800 |
| 可視域の透過率 | 92% | 87% | 0% |
| 最高プロセス温度(℃) | 600 | 180 | >600 |
| CTE(ppm/℃) | 5 | 16 | 10 |
| 弾性率(Gpa) | 70 | 5 | 200 |
| 浸透率 | なし | あり | なし |
| 加湿下での膨張係数(ppm/%RH) | 0 | 11 | 0 |
| 平坦化の必要性 | なし | なし | あり |
| 導電性 | なし | なし | あり |
| 熱伝導度(W/m.℃) | 1 | 0.1 | 16 |
1. a-Si TFTプロセスの低温化4)
表2に示したように,ガラス基板上のa-Si TFTの最高プロセス温度は300℃程度であるが,PET基板では180℃以下にする必要がある。そこで,PECVDの成膜条件として通常のガスにヘリウム(He)を加え,プロセスの低温化を図った。図1の(a)と(b)に基板温度150℃で作製したTFTの特性を示す。TFTはチャネル保護型の6枚マスクで,チャネル長Lおよびチャネル幅Wは6μm,63μmである。Ionは7μA,IoffはpAレンジである。このTFTの移動度は0.87cm2/Vs,しきい値電圧は2.5Vである。これらの特性はガラス基板上に作製したものと差異はなく,OLEDを駆動するのに十分なものとなっている。
PEN基板上に表示域48mm×48mm,160×160画素のAMOLEDが試作された。TFTのDC印加での信頼性はこれからの課題といえる。

図1 (a)トランスファー特性(b)飽和領域における![]()
2. SUS基板上へのa-Si TFTの作製5)
表1に示したように,SUS基板は表面に凹凸があるため平坦化処理が必要である。75μm SUS基板表面にSOGによる平坦化膜を作製した基板上にa-Si TFTを作製した。
基板温度25〜280℃で作製したTFTの特性は,移動度0.3〜0.7cm2/Vs,しきい値電圧3〜5V。なお,TFTのチャネル長および幅はそれぞれ5μm,40μmである。48×48画素のOLEDをこのTFTで駆動したことが確認されている。
1. 液晶滴下注入法
液晶滴下注入(ODF:One Drop Fill)は,松下電器産業がSTNの製造ラインで使用していたとされる。この製造プロセスは一般に公開されることもなく,また追試する動きもなかった。しかし,96年に富士通がMVAモードのTFT-LCDを開発し量産しようとした時,従来の真空注入法では注入速度が遅く量産には適用できなかった。そこでODF法を検討し,99年頃からMVAモードTFT-LCDの生産ラインに適用したと言われている。
ODFは,真空注入方式に比べ大型TFT-LCDのセル製造時間を劇的に短縮することができ,歩留りの向上と製造コストを大幅に削減することが可能である。従来の真空注入法では,セルに注入される液晶よりも捨てる液晶の量が遥かに多かった。03年以降の新しい製造ラインには,ODF法が主に導入されている。ODF装置の貼り合わせアライメント精度は,絶対寸法精度を合わせてあれば±1μm以内の超高精度アライメントが可能である。従って,COA(Color Filter On Array)工程の必要性はない。
大型TFT-LCDの生産ラインから導入が始まったODFは,滴下量の少量化と精度向上(滴下精度±1%以下/5mg)に伴って,中小型パネル生産ラインへの導入も行われている7)。この場合は,注入口封止が不要であることからパネル額縁の小型・薄型化に寄与する。真空注入法では,液晶材料成分の蒸気圧が重要なパラメータの一つであった。しかしODF法は大気での注入のため蒸気圧の制限がなくなり,低粘度の材料を用いて応答時間の改善を図ることが可能となった。
2. インクジェットによる配向膜の塗布8)
インクジェット(IJ)方式の配向膜塗布装置は,従来のフレキソ印刷による版胴を用いた配向膜塗布装置に比べ,塗布パターンのデータ制御により版胴が不要となる。しかも,パターン変更に伴う版胴交換に要していた1.5〜2時間を60秒に短縮できる。さらに,塗布液の利用効率を最大70%まで向上,非接触プロセスによるワークへのダメージレスなどの特徴が評価されている。装置メーカーは配向膜材料メーカーと協力し,IJ塗布向けに低粘度タイプを開発している。このプロセスも大型パネルの生産から導入が始まり,中小型パネルの生産ラインにも導入が始まっている。
「a−Si TFTを用いたディスプレイの製造技術動向―高精細化とフレキシブル化―」と題して,ディスプレイの高精細化,フレキシブル化およびセル工程の最新技術を述べた。ここで紹介した露光装置と低抵抗バスライン材料を組み合わせれば,ディスプレイの高精細化が実現できる。償却が済んだa-Si TFT-LCDラインの中小型パネルへの転換が進んでいるが,これらのラインに今回紹介した装置や技術が導入されると,低温poly-Si(LTPS)TFT-LCD陣営にとって脅威となろう。
また,次世代ディスプレイとしてのフレキシブルディスプレイの開発にとっては,どのバックプレーン技術が主流になるか,当分目が離せない状況である。唯一言えることは,バックプレーンの特性を生かしたディスプレイが,フレキシブルディスプレイの分野でも主流になるであろうということである。
〈参考文献〉
1)ニコン:プレスリリース(2007)
2)J.P.Chu:et al., IDW’04 Digest pp.545-548(2004)
3)東北大学:プレスリリース(2007)
4)K.R.Sarma:AM-FPD’07 Digest pp.87-90(2007)
5)Y.Hong:et al.,AM-FPD’07 Digest pp.65-68(2007)
6)鵜飼育弘:a-Si TFT-LCDの最新技術 EDリサーチ(2006)
7)中塚康幸:FINETECH JAPANセミナー資料 C3-4(2007)
8)小澤康博:FINETECH JAPANセミナー資料 C3-2(2007)