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| 有機トランジスタ材料 | ペンタセン(C22H14) |
| 電子移動度 | 0.1cm2/Vs(ディスプレイ作製後の特性) |
| オンオフ比 | 106 |
| チャネル長 | 5μm |
| Vth | −5V |
| プラスチック基板材料 | PES(ポリエーテルスルホン)厚さ200μm |
ディスプレイの機械的な柔軟性を確保するため,基板にはプラスチックフィルムを用い,TFTの絶縁膜には,硬質な無機絶縁材料を撤廃し,有機絶縁膜のみを採用した。これにより,曲げた状態でも画像表示可能なことを実証した。表1に試作したOTFTの仕様を,表2に試作したOTFT駆動OLEDの仕様を示す。
表2 OTFT駆動OLEDの仕様| 画面サイズ | 2.5型 |
| ピクセル数 | 120×RGB×160画素 |
| ピクセルサイズ | 318μm×318μm |
| 解像度 | 80ppi |
| 表示色数 | 1677万色 |
| ピーク輝度 | >100cd/m2 |
| コントラスト比 | >1000対1 |
| 駆動方式 | OTFTを用いた2T-1C電圧駆動 |
| スキャン電圧 | 30V p-p |
| 信号電圧 | 12V p-p |
| パネル | 0.3mm(最厚部) |
| パネルの重さ | 1.5g(パネル部のみ,ドライバICなど除く) |
1. E InkのEPID

図4 E Inkのマイクロカプセル型EPIDの断面構造
TFT-EPIDの実用化製品には,04年にソニーから市販されたe-Bookリーダ「リブリエ」がある3)。ここで用いられたディスプレイは,6型SVGA(800×600)のa-Si TFTアレイ基板上に,E Inkのマイクロカプセル型EPIDを貼り合わせものである。図4にE Inkのマイクロカプセル型EPIDの断面構造を示す8)。負に帯電した黒色粒子と正に帯電した白色粒子が透明の溶液内に混在している。このようなインクを含んだ溶液は,透明有機膜の球状カプセルに閉じ込められ,さらに平面電極の間に挟まれている。画像の書き換え時には,外部から両電極間に所定の極性の電界を与え,黒色白色のインク微粒子の浮沈を制御する。図では背面板の電極に正の電位,前面板の電極に負の電位を与えると,白色が浮き上がり,逆ならば黒色が浮き上がる。透明電極を持つ前面板側から浮き上がったインクの色が見えることになる。このようにして表示される画像は,まさに印刷物のように,「紙」の「白」を実現できる。一方,反射型LCDの白表示が鼠色に見えるのは偏光板によるもので,E Inkのものは偏光板を用いていないことが大きな特徴といえる。
06年9月にソニーから発売された「Sony Reader」は,同じく6型SVGAで4階調のモノクロ表示,1回の充電で7500ページまで読めるのが特徴である9)。この商品は発売3か月で3万台を販売した。表示品位上の課題は応答時間と明るさであった。最近,従来の応答時間を2倍早くし,明るさを20%改善したものが開発された10)。このデバイスは,「Vizpiex」と呼ばれるもので,応答時間は従来の1200msから740msに向上し,モノクロの最大切り替え時間を500msから260msに改善した。反射率は従来32〜35%だったものを40%に,階調表示のビット数は2ビット4階調表示から3ビット8階調に向上した。
その結果,電子ブックのみに限られていたアプリケーションが,携帯電話,MP3プレーヤ,スマートフォン,電子辞書,タブレットPCへ応用可能になった。同社と製造元の台湾Prime View International(PVI)は,供給可能なTFTモジュールサイズは1.9型,5型,6型,8型,9.7型に拡大すると発表している。
また,Motrolaの携帯電話「MOTOFONE F3」にEPIDが用いられている。この携帯電話の筐体の厚みは10mm以下で,ディスプレイの基板はガラスではなくプラスチック基板である。表示は反射型のためサイドライトが備わっている。
凸版印刷は,東京工業大学 細野秀雄教授らのグループが開発したアモルファス酸化物半導体によるTFTが,室温で作製でき,従来のa-Siに比べても優れた特性を持つことに着目した。この材料を用いて室温でCF基板上にTFTを作製し,電気泳動方式のE Ink前面板と組み合わせることでフレキシブルなカラー電子ペーパーを試作した11)。アモルファス酸化物半導体TFTによるE Ink電子ペーパーの駆動は世界で初めてである。移動度は5〜7cm2/Vs,オン・オフ比6桁である。同社は,2型30×40画素の反射型カラーEPIDを試作した。LCDの様に偏光板がないもののCFを用いているため暗く,表示品位には改善の余地がある。
2. SiPix Imaging
先日開催されたCEATECのエヌ・ティ・ティ・ドコモのブースで話題を呼んだ電子ペーパー携帯は,SiPix Imaging製と言われている。これは,操作キーの表示部にSiPix ImagingのEPIDを用いたもの。このデバイスは,「マイクロカップ」と呼ぶ小部屋に白色粒子と着色した液体を充填している。表示色は,白色粒子の白と着色した液体の色の2色表示。同社では,これ以外に青色,赤色,緑色,黄色,黒色の液体を用いた5種の2色表示が用意されている。デモでは一つのボタンの領域に対して3種類の文字や記号が表示できることを見せていた。表示の切り替え速度は1秒程度で改善の余地がある。
3. ブリヂストン(電子粉粒体方式QR-LPD)
大日本印刷は,印刷技術によるOTFTをバックプレーンに用いたEPIDを開発した12)。OTFTは,ガラスもしくはプラスチック基板上にゲート電極およびゲート絶縁膜をフォトリソで形成後,ソース・ドレイン電極をスクリーン印刷,有機半導体をインクジェット,有機保護膜をスクリーン印刷で形成した。試作したTFTの特性は,移動度0.005cm2/Vs,Ion/Ioff 106(Vds=−80V)。このOTFTアレイとEPIDとしてのQR-LPD(Quick-Response Liquid Powder Display:ブリヂストンが開発)を組み合わせたデバイスを開発。ディスプレイサイズ81.3mm×41.3mm,画素数128×128,応答時間は80V駆動で0.3ms。E Ink製に比べ応答時間は早い。
07年のSociety for Information Display(SID)はOLEDに始まりOLEDに終わったとSIDのレビュー記事に述べたが,いよいよ中小型TFT-OLEDが実用化され,この記事を目にされる頃にはOLED-TVが市場に出ているであろう。
EPIDは,電子ブック以外のアプリケーションも始まった。EPIDのカラー化によって,携帯電話のメインディスプレイやサブディスプレイばかりでなく,キーパッドに採用が検討されている。
〈参考文献〉
1)鵜飼育弘:Semiconductor FPD World 2007 7月号 pp.114-119(2007)
2)三上明義:プレスジャーナル 2007 FPD入門セミナー資料(2007)
3)鵜飼育弘:「薄膜トランジスタ技術のすべて」工業調査会(2007)
4)G.Harada:IDW’06 Digest pp.453-456(2006)
5)C.Li:SID’06 Digest pp.1372-1375(2006)
6)セイコーエプソン:ニュースリリース(2007)
7)I.Yagi:SID’07 Digest pp.1753-1756(2007)
8)安居勝:「液晶」第8巻第4号 pp.39-51(2004)
9)Sony Reader Home Page
10)E Ink:ニュースリリース(2007)
11)M.Ito:IDW’06 Digest pp.585-586(2006)
12)H.Maeda:SID’07 Digest pp.1749-1752(2007)