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これが中小型ディスプレイの全貌

08年以降の中小型ディスプレイ市場はこう動く

鵜飼育弘/ソニー

はじめに

鵜飼育弘氏

第11回では,「08年以降の中小型ディスプレイ市場はこう動く」と題して07年7月に開催されたDisplaySearchのセミナーの資料1)を基に概説する。中小型に限らず大型TFT-LCD市場も生産数量の増加に対して価格下落の影響が大きい。共通して言えることは,新規アプリケーションの創製がますます重要になってきている。

応用分野別動向

図1に中小型TFT-LCD(AM-OLEDを含む)の金額ベースの長期見通しを示す。06年の実績は182億4600万ドル,11年には217億1500万ドルと予測されている。図から応用分野のトップは07年以降も携帯電話であり,約半分を占める。PDAは06年12億4400万ドルが07年には17億9000万ドル,11年には18億7400万ドルと大きく躍進することが窺える。
成長率に関しては,05年から07年にかけてマイナス成長となった。これは生産数量が伸びたにもかかわらず,製品単価の下落が大きく影響している。ただ,07年以降は数%から10%程度の成長が見込まれている。

図1 中小型TFT-LCDの金額ベース長期見通し(AM-OLED含む)
図1 中小型TFT-LCDの金額ベース長期見通し(AM-OLED含む)

図2 携帯電話用FPD出荷金額予測
図2 携帯電話用FPD出荷金額予測

図3 PDA用FPD生産数量長期予測
図3 PDA用FPD生産数量長期予測

1. 携帯電話用FPD

図2に携帯電話用FPDのデバイス別出荷金額予想を示す。この分野でa-Si TFT-LCDが08年までトップを占めているが,09年以降はLTPS TFT-LCDに取って代わる。また,カラーSTN-LCDおよびモノクロSTN-LCDは減少し,OLEDが伸長する。これは,ディスプレイの解像度で07年以降QVGAの伸びが大きく,またVGAも06年には75万台だったが07年には187万5000台,11年には1727万5000台と急増することが予測されている。従って,今後の動向は,高精細化対応可能なデバイスとしてのLTPS TFT-LCDと次世代ディスプレイとしてのOLEDと言える。

2. PDA用FPD

図3にパーソナルデジタルアシスタンス(PDA)用FPDの数量ベースの長期予測を示す。PDAフォンの需要拡大で1億台超えの可能性もある。サイズ別では,06年には3.5型320×240(QVGA)がトップであったが,07年以降3型QVGAがトップとなる。06年以降4型480×272が年々増加傾向を示す。OLEDは08年ごろ再度市場に現れ,11年には225万4000台と予測されている。

図4 DSC用FPDの生産数量長期予測
図4 DSC用FPDの生産数量長期予測

図5 VCR用FPDの生産数量長期予測
図5 VCR用FPDの生産数量長期予測

3. DSC,VCR用FPD

図4にデジタルスチルカメラ(DSC)用FPDの数量ベースの長期予測を示す。成長率は鈍化傾向にあるものの,着実に数量は増加している。ただし,日本と台湾・韓国メーカー間の競合により過酷な価格下落が続いている。サイズ別では2.5型がトップで3型以上の増加に伴い2.5型以下のサイズが年々減少する。08年の北京オリンピック,10年の上海万博と継続的な需要増が見込まれている。OLEDは09年ごろから市場に出ると予測されている。
図5にビデオカムレコーダ(VCR)用FPDの数量ベースの長期予測を示す。ハイビジョン対応,DVD/HDD/メモリカード方式など,機能更新が続く中,07年に入り前年比10%増と好調に推移している。サイズの動向は,06年に2.7型ワイドに急にシフトした。3型以上も05年から出始めたが07年の86万4000台が11年には120万台と大きな伸びは期待できない。一方,OLEDはDSCと同様に09年ごろから市場に出始め,年々増加すると予測されている。

OLEDの市場動向

図6にOLEDの応用分野別数量の動向を示す。AM-OLEDの量産立ち上げが予測より遅れ気味で携帯電話メインディスプレイの数量が下方修正された。しかし,他の携帯機器(DSC,VCRなど)への応用の期待値が加味された予想となっている。金額ベースの予測を図7に示す。携帯電話用,TV用が金額ベースの拡大を加速している。DSCなどへの適用が期待されている。06年のAM-OLEDの生産金額が1600万ドルであったが,07年には2億200万ドル,11年には20億4300万ドルと予測されている。

図6 OLED市場の数量長期予測
図6 OLED市場の数量長期予測


図7 OLED市場の金額長期予測
図7 OLED市場の金額長期予測

デバイス別市場動向

表1に06年以降11年までのa-Si TFT-LCD,LTPS TFT-LCDおよびAM-OLEDの金額ベースの市場動向を示す。a-Si TFT-LCDは,年々減少傾向である。これはすでに述べたように,中小型で半数以上の割合になる携帯電話用の高精細化に対応できないことが大きな要因である。逆に,LTPS TFT-LCDは年々増加の傾向を示す。08年ごろからIn-Cell化タッチパネルが市場に出回ることが予測され,さらなる増加が見込まれる。
AM-OLEDは携帯電話のメインディスプレイとして採用され,今後は他の携帯機器への適用と相まって急激に増加すると思われる。しかし,ビジネスとして成功するためには,現状の材料・プロセスおよび装置の稼働率・歩留りの改善が必要であろう。

表1 アクティブ駆動ディスプレイの金額ベース長期予測 (単位:M$)

06年
07年
08年
09年
10年
11年
a-Si TFT-LCD
10863
9409
9249
9369
9266
9030
LTPS TFT-LCD
5877
6697
7547
7971
8140
8381
TFT-LCD Sub-Total
16740
16105
16796
17340
17406
17411
AM-OLED
16
202
729
1014
1592
2043
TFT-FPD Total
16757
16308
17525
18354
18998
19454
おわりに

08年以降の中小型ディスプレイの市場動向を概説した。市場の過半数を占める携帯電話用ディスプレイは,a-Si TFT-LCDから高精細化に対応できるLTPS TFT-LCDが主流になる。しかも,In-Cell化タッチパネルに代表されるインプット内蔵のディスプレイが商品化され,この傾向はさらに加速されるものと思われる。
AM-OLEDは,07年には携帯電話のメインディスプレイに採用され,小型TVも実用化された。TFT-LCDといかに差異化した商品展開ができるかが今後の動向を大きく左右するものと思われる。

〈謝辞〉
市場動向の資料を提供頂いたDisplaySearchの早瀬氏に感謝の意を表します。

〈参考文献〉
1)早瀬:DisplaySearchセミナー(2007.7)


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