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| I | II | III | IV | V | VI | VII | VIII |
| H 水素 |
He ヘリウム |
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| Li リチウム |
Be ベリリウム |
B ホウ素 |
C 炭素 |
N 窒素 |
O 酸素 |
F フッ素 |
Ne ネオン |
| Na ナトリウム |
Mg マグネシウム |
Al アルミニウム |
Si シリコン |
P リン |
S 硫黄 |
Cl 塩素 |
Ar アルゴン |
| K カリウム |
Zn 亜鉛 |
Ga ガリウム |
Ge ゲルマニウム |
As ヒ素 |
Se セレン |
Br 臭素 |
Kr クリプトン |
| Rb ルビジウム |
Cd カドミウム |
In インジウム |
Sn すず |
Sb アンチモン |
Te テルル |
I ヨウ素 |
Xe キセノン |

図1 半導体の仲間達
CMOS LSIに入る前に,どうしても物性に触れておきたいと思います。皆さんは周期律表を中学校で習ったと思います。「卒業したら忘れてしまった」「何のために中学へ行ったの?」冗談はさておき,表1を見て下さい。この表のIII,IV,V族に注目して頂きたい。現在の半導体の大部分はシリコン(Si)を材料にしています。周期律表のW族のところに有ります。IV族の原子が結晶を作ると半導体になり,炭素(結晶になるとダイヤモンド)やゲルマニウム(Ge)の結晶も半導体になりますが,ここでは横道に入り過ぎるのでこれぐらいにしておきましょう。

図2 半導体の区分
「半分だけ導体っていう意味かしら」。合っているようで,少し違います。金属は電気を良く通すから導体,ガラスやプラスチックは絶縁物なので不導体,その中間の物質が半導体である。と説明される場合が多いですが,厳密には間違いです。純水に塩を少しずつ加えると,電気が流れるようになりますが,この食塩水は半導体ではありません。(図2)
どのような物が半導体かといえば,ある状態では不導体だが,ちょっと条件を変えると導体になる。そんな物質と言っておきます(厳密な学者先生から叱られそうな説明ですが)。その条件というのは,IV族のSi結晶中に,III族やV族の原子を添加すると大いに電気的性質が変わります。不純物を添加することをドーピングと呼んでいます。辞書によると,Dopeとは刺激剤や麻薬を飲むことと出ています。オリンピックではほんの少しドーピングすると,大いに活性化して凄い記録が出るから禁止されていますが,半導体でも同じで,III族やV族の原子をほんの微量ドーピングしただけで電気的性質がガラリと変わってしまいます。そこが半導体の面白いところです。

図3 Siの原子構造
ところでSiの原子は,中心に原子核があり,その周りを14個の電子が回っていますが,量子論という難しい学問によると,どこでも勝手なところを回れるわけでなく,回れる軌道が決まっており,図3のように一番内側の第1軌道が2個,次の第2軌道に8個,その外の第3軌道に4個の電子があります。この一番外の4個の電子が重要で,周りの4個の原子と結合して結晶を作っています。これを共有結合と呼んでいます。

図4 Siマンションは4人家族
Si原子が結晶状態に並んだ様子をマンションに例えてみると,図4のように4人家族が暮らせる間取りになっています。そこへ5人家族が入居してきたらどうなるか。一人が余ってしまい,居る場所がなくなり末っ子の電子が追い出されてしまう。追い出された電子は隣の家に行くが,そこも4人で暮らしており,電子を入れる余地がない。そうやって,電子はマンション中を歩き回る羽目となります。
Si結晶中に,V族のリン(P)が入った場合はそのような状態で,第3軌道の5個の電子を持っているPは,Siと共有結合すると電子が1個余るのでこれを放出し,電子が結晶中を歩き回ることになります。電子はマイナスの電荷を持っているので,Negativeの意味でN型半導体と呼んでいます。では,3人家族が越してきた場合はどうなるか。3人家族だと1人分空いているので,そこへ隣の子供が移ってきます。すると隣は1部屋空くので,さらに隣の子供が移ってきます。この様子は図5のようになります。結局,子供が右へ次々に動くということは,空いた部屋が反対の左へ動くのと同じと考えます。空き部屋が次々移動するのは,プラスの電荷を持った粒子が動くと考え,これをプラスの孔と言う意味で,正孔と名付けています。英語ではHoleと呼んでおり,正孔が発生する半導体をP(Positive)型と呼んでいます。

図5 正孔(Hole)の考え方
空き部屋のある原子といえば,第3軌道に3個の電子があるIII族の原子です。アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In)もIII族なので該当しますが,一般にはホウ素(B)が用いられることが多いです。以上をまとめると,PやAsをドーピングすると,自由電子が発生してN型になり,Bをドーピングすると正孔が発生してP型になります。
長くなりますが,MOSについて少し見ておきたいと思います。MOSはMetal-Oxide-Semiconductorで,日本語で言えば,金属-酸化物-半導体ですが,金酸半ではおかしいし,やはりMOSと呼ぶしかありません。

図6 水の流れに似ているMOSトランジスタ
MOSトランジスタの動作は,水の流れで説明されると分かりやすいと思います。図6左図の水源からの水の流れは,水門を開くと流れるし,閉じると流れない。それと同じことが半導体で行われています。すなわち,MOSトランジスタのゲート電極へ電圧を掛けると,ソースからドレインへ電流が流れ,ゲート電圧を掛けないと流れない。つまり,ゲートの電圧によって,ソースからドレインへの電流をONかOFFにするわけです。電極の名前も,ソース(Source:水源),ドレイン(Drain:引き込み口),ゲート(Gate:水門)という水の流れから取った名前がついています。

図7 ソースとドレインが導通した状態
NMOSトランジスタのゲート電極にプラスの電圧を与えると,Si側にマイナスの電荷,すなわち電子が現れます。すると,両側のソースとドレインは元々電子が沢山あるN型なので,ソースとドレイン間に少し電圧を掛けてやると,この間に電流が流れます。すなわちON状態です。ゲート電極にプラスの電圧が掛かっていなければ,Si表面に電子が現れませんから,ソースとドレインにいくら電子があっても,この間に電流が流れずOFF状態となります。このように,ゲートにプラスの電圧を与えるかどうかで,ソースとドレイン間の導通が決まります。これがMOSトランジスタの原理で,電子が流れるタイプをNMOSと呼んでいます。ソースとドレインがP型で,正孔が流れるタイプはPMOSと呼ばれます。実際に生産されているMOSはもっと複雑ですが,原理は以上の通りで,極めて簡単で拍子抜けしたでしょう。
次回は,NMOSとPMOSが同じチップに載っているCMOSを取り上げます。
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